住友金属鉱山、今年度ミンダナオに188億円投資
2013/05/10
タガニート・プロジェクト建設費(総額約1,600億円)
ニッケル生産能力増強、非鉄メジャー入り目指す
住友金属鉱山(住友鉱)は、5月10日に 2013年度の住友鉱グループの設備投資・投資予定額を発表した。
それによると、住友鉱の2013年度設備投資・投資予定額は849億円で、前年度実績の594億円からは 43%増加となる。大型設備投資案件としては以下を予定している。
①タガニートプロジェクト建設:188億円(総額15億9,000万米ドル)
②電気ニッケル増強:52億円(総額140億円)
③モレンシー銅鉱山拡張プロジェクト:112億円(総額2億6,000万米ドル)
④硫酸ニッケル増強: 54億円(総額60億円)
⑤資源精錬開発センター:10億円(総額 10億円)
⑥菱刈鉱山下部鉱体開発: 5億円(総額32億円)
今後世界のニッケル資源の確保には、低品位鉱石からのニッケル分の回収が必須であるが、HPAL(High Pressure Acid Leach:高圧硫酸浸出)法は、これまでニッケル分の回収が困難であった低品位のニッケル酸化鉱からニッケルやコバルトを回収する技術であり、住友金属鉱山はこの技術分野において現在世界のトップランナーとなっている。
住友金属鉱山は、2005年4月にフィリピン・パラワン島のCBNC(コーラルベイ・ニッケル社、社長:藤村隆則氏)において、このHPAL技術を用いた本格生産を開始し、その後世界ではじめて計画通りの商業生産を成功させた。また、この成功をもとに2009年4月にはCBNC における第2工場の垂直立ち上げを完了し、同社の生産能力を年間1万トンから2万2千トン(ニッケル量換算)へ増加させた。
このような実績を背景として、住友金属鉱山はHPAL技術を用いたタガニート・プロジェクトを推進し、年産約6万5千トンのニッケル生産能力を、2013年度には同10万トンとすることにより、世界トップクラスのニッケル製錬メーカーの地位を確固たるものにするとともに、従来から戦略目標としている「非鉄メジャークラス」入りに向けて邁進していく方針である。
タガニート・プロジェクトにおいては、住友鉱傘下のタガニートHPAL社(THPAL、本社:首都圏マカティ市)がミンダナオ島北東部タガニート地区にて、ニッケル・コバルト混合硫化物( ニッケル品位約57%)を年間3万トン(ニッケル量換算)生産する。
THPALの資本金は40億9,500万ペソ、出資比率 は住友金属鉱山 62.5%、ニッケル・アジア22.5%、三井物産15%となっている。
一昨年10月に発生したタガニート地区での武装勢力襲撃事件により、工事が一時中断を余儀なくされたことなどから工期に若干の影響を受けた。しかし、その後工事は順調に進捗、現時点でプラントが概ね完工、2013年内に商業生産が開始される見込みである(13年5月10日の住友金属鉱山株式会社ニュースリリースなどより)。