日本格付研究所、フィリピン格付をトリプルBに

2013/05/07

投資適格最低基準よりも一段階上に引き上げ

 

 日本格付研究所(JCR)は、5月7日に、フィリピン格付を引き上げた。

 JCRは、フィリピン共和国(フィリピン)の外貨建長期発行体格付、ペソ建て長期発行体格付ともに、これまでのトリプルBマイナス(BBB-)から、トリプルB(BBB)へと引き上げた。格付見通しは安定的とされた。

 JCRは、欧米系有力格付け機関と異なり、フィリピンを既に投資適格最低基準であるBBB-としていたが、今回、投資適格最低基準の一段階上へと引き上げた。

 JCRは、フィリピンにおける①近年の政治の安定性向上、②堅実な財政運営の継続を背景に改善が進む政府財政ポジション、③海外労働者送金に支えられた底堅い内需を牽引役とする経済成長の高まり、④近年の外貨準備の積上げなどによる対外ショックに対する耐久力向上などを評価した。

 また、フィリピン経済に関して、「堅調な内需を下支えに6%前後の成長を続ける可能性が高いと考えられる。経常収支は、海外労働者送金やビジネス・プロセス・アウト・ソーシング(BPO)産業に支えられ、引き続き黒字が続くと見られる。財政面では、アキノ政権は酒・たばこ税の増税や徴税強化により2013年以降財政赤字をGDP比2%以内に抑制する方針であり、政府財政ポジションは緩やかな改善が続くと期待される」と予想している。

 ただし、「欧州経済を中心に世界経済の先行きについては、依然として不透明感があり、世界経済の動向とそれによるフィリピン経済への影響には一定の注意が必要と言える。また、金融セクターの深化・多様化が設備投資等を通じた資本形成の促進にとり重要となっている。そして、今後中期的に財政ポジションの改善傾向を維持するには税収基盤のさらなる強化により持続的経済成長を税収増に着実に結び着けていく必要がある」とも指摘している(13年5月7日の株式会社日本格付研究所ニュースリリースより)。