ADB、フィリピン成長率予想を上方修正

2013/04/09

今年6.0%、来年5.9%へ:アジア経済見通しで
課題は雇用拡大、不完全就業率20%超と指摘

  アジア開発銀行(ADB)は、4月9日に、「アジア経済見通し(ADO)2013年版」を発表した。ADOはADBが毎年春に発表している代表的報告書の一つである。

 ADO2013年版によると、2013年のアジア途上国(日・豪・NZを除く域内のADB加盟国45カ国)の経済は、域内の好調な内需や投資、中国やインドの景気再拡大などで、成長率が拡大する見込み。
 アジア途上国全体のGDP実質成長率(成長率)については、2012年実績6.1%に対し、2013年は6.6%へ拡大、2014年は6.7%へと更に拡大すると予測されている。

 東南アジア10カ国の成長率に関しては、2012年実績5.5%に対し、2013年は5.4%へと僅かに鈍化、2014年に5.7%へ再拡大すると予測されている。ラオスが最高の成長率と見込まれており、2013年、2014年ともに7.7%と予想されている。カンボジアも両年ともに7.2%と高い成長が続くと予想されている。
 
 フィリピン成長率に関しては、2012年実績6.6%に対し、2013年6.0%、2014年5.9%へと鈍化するが、依然好調に推移すると予測されている。そして、昨年10月に発表された「アジア経済見通し2012年改訂版」(ADO2012改訂版)での2012年5.5%、2013年5.0%という予想からは上方修正されている。

 フィリピンのインフレ率については、2012年実績3.2%(5年ぶりの低水準)に対し、2013年は3.6%、2014年は3.8%とやや上昇するが、依然低インフレが続き、政府目標(3.0~5.0%)内に収まると予測されている。
 経常収支黒字対GDP比率は2012年実績2.8%に対し、2013年は3.0%、2014年は3.2%へと上昇すると見込まれている。

 このようにADBは、フィリピン経済に関しては、海外就労者(OFW)からの送金等に支えられた旺盛な個人消費などで堅調な景気推移となると予想している。しかし、大きな課題として、貧困緩和や雇用機会拡大・失業率低下を挙げている。新規雇用数の伸びは緩慢であるし、パート比率が高く不完全就業率は20%超へと悪化していると指摘。ADBは、政府の目指す年間成長率7~8%を達成するには、構造改革推進などの多大な努力が必要とも指摘済みである(13年4月9日のアジア開発銀行発表より)。