フィリピン格付、ついに投資適格に昇格

2013/03/27

欧州系フィッチ、トリプルBマイナス(BBB-)に

 欧州系の有力格付機関であるフィッチ・レーティングス(フィッチ)は3月27日に、フィリピン共和国の格付を引き上げた。


 フィッチは、フィリピンの長期外貨建て発行体デフォルト格付(IDR)を、これまでの「ダブルB+(BB+)」から、トリプルBマイナス(BBB-)へと一段階引き上げた。格付けアウトルック(見通し)は「ステーブル(安定的)」とされた。

 長期ペソ建てIDRとカントリー・シーリングに関しては、「トリプルBマイナス(BBB-)」から「トリプルB(BBB)」へと引き上げられた。

 長期外貨建て発行体デフォルト格付(IDR)の「BBB-」という格付は、投資適格という範疇のなかでは最低のランクではあるが、これまで長く続いた投資非適格という範疇から脱出、曲がりなりにも投資適格へと昇格したことを意味する。したがって、今回の一段階引き上げは非常に大きな意義とメリットを有しているといえよう。

 フィッチは一昨年6月に、フィリピンの外貨建て長期発行体デフォルト格付(IDR)を「BB+」に引き上げたことで、投資適格への昇格が心待ちにされていたが、それから約2年間で昇格が実現したのである。

 フィッチはフィリピンの財政規律が改善傾向にあることを高く評価している。また、景気が安定的に拡大基調にあり、2012年は世界景気が軟調な中でGDP成長率が6.6%に達したこと、海外就労者(OFW)の送金寄与もあって経常収支が黒字を継続していること、対外支払い能力が強化されていること、政治的な透明性、安定性が改善していることなども評価している。

 なお、米国の有力格付け機関S&Pとムーディーズのフィリピン格付けは現在、ともに投資適格最低基準の一段階下の投資非適格の範疇である。フィッチと同様、投資適格に昇格されることが期待されている(13年3月27日のフィッチ・レーティングスのニュースリリースなどより)。