マニラ湾岸大型カジノ・リゾート、ついに始動
2013/03/16
16日ソレア開業、ライバル企業群も開業予定
フィリピン、世界的なカジノ都市へとの期待も
フィリピン政府は、国家プロジェクトとして観光事業を強力に推進することを目的に、マ二ラ湾岸沿いに「マニラベイ・エンターテインメントシティー」を創設しつつある。
「マニラベイ・エンターテインメントシティー」においては、汚職疑惑で揺れるユニバーサルエンターテインメントト(旧社名アルゼ、ジャスダック上場、以下UE)グループを含む4グループのカジノ複合リゾート施設の開発が行われつつある。
その4グループの一つが当地最大の港湾企業インターナショナル・コンテナ・ターミナル・サービシズ(ICTSI)の総帥エンリケ・ラソン氏傘下のブルームベリー・リゾーツ(ブルームベリー)である。ちなみに、ラソン氏は2013年フォーブス誌富豪ランキングにおいて、資産49億ドルで、フィリピン3位、世界で258位とランクされている。
このブルームベリーによる大型カジノ・リゾートプロジェクト第1期が完工(総工費12億米ドル)した。そのカジノ・リゾート「ソレア・リゾート&カジノ」(ソレア)が、3月16日に開業した。豪華でモダンな500室、2000台分の駐車場、10店のレストラン・ラウンジ、そしてカジノなどを擁する世界水準の娯楽施設である。2年後に第2期プロジェクトでの300室を加え、800室とする計画である。最終的には2,000室を視野に入れているとのことである。
開業式には、アキノ大統領、フィリピン賭博公社(PAGCOR)のナギアット会長、パラニャーケ市長、ラソン氏などが出席した。
アキノ大統領は「ソレアによって約4000人の新規雇用が創出される。この雇用創出や訪問者増加などにより、フィリピン経済が一段と活性化されることになろう」と演説した。
このブルームベリーは、マニラ湾岸のカジノ事業にとどまらず、国内外でのカジノ事業拡充を推進する方針である。例えば、フィリピン賭博公社(PAGCOR)が民営化されるならばその民営化入札に参画意向であるし、海外ではマカオなどでのカジノ買収機会を模索している。
フィリピン証券取引所(PSE)は、3月11日に、代表的な株価指数であるフィリピン証券取引所指数(PSEi)構成銘柄(30銘柄)採用銘柄入れ替えを行った。その際、「ブルームベリー・リゾーツ」が、新たなPSEi構成銘柄として採用された。
マニラ湾岸では、SMのヘンリー・シー氏傘下の娯楽・不動産企業ベルコープ・グループと、オーストラリアの富豪ジェームス・パッカー氏傘下のカジノ企業メルコ・クラウン・エンターテインメント社(MCE)と合弁で、大型カジノ・リゾート「ベル・グランデ」を2014年にもオープンする意向である。
MCEはマカオのメルコ・インターナショナルと豪州のクラウンの合弁企業であり、マカオの有名カジノ「シティ・オブ・ドリーム」の開発・運営企業である。
さらに、マレーシアの大手娯楽企業ゲンティン・グループ傘下の香港スター・クルーズ(麗星郵輪有限公司)は、フィリピンのアライアンス・グループ(AGI)傘下のトラベラーズ・インターナショナル・ホテルグループと共同で、大型カジノ・リゾートを開業する予定である。
これらが開業すると、マニラは世界的なカジノ都市になる可能性があるとの期待が高まっている。PAGCORのナギアット会長は、フィリピンのカジノ産業規模は、2013年の20億米ドルから14年に40億米ドルへと倍増、2017年には最低でも100億米ドル超となるであろうと予想していると報じられている。