日本企業の模倣被害率、ASEANで19.1%

2013/03/14

中国で64.4%、韓国で22.8%、台湾で22%に
フィリピンでの対策実施率5.2%、中国で43.9%

日本の特許庁は、毎年度、日本企業等の模倣被害の実態等について、アンケート調査を行っている。そして、この度、「2012年度模倣被害調査報告書」を公表した。


近年、模倣品・海賊版の流通は世界的に拡大しており、その被害の内容も多様化・複雑化している。その影響は産業上の損害にとどまらず、偽造医薬品等による身体への危害、犯罪組織への資金流入等にも及んでいる。このような背景から、特許庁は、関係省庁や外国政府、国際機関等と連携し、海外における日系企業の支援、国内における取締活動への協力、消費者への普及・啓発等を進めている。

 今回公表の「模倣被害調査」は、企業等の国内外での模倣被害の実態に関する情報を収集・分析したものであり、模倣品・海賊版対策の政策立案等に活用するとともに、企業等における模倣品・海賊版対策や、消費者への普及・啓発等に活用することを目的として、1996年度以降、毎年度実施している。

 それによると、2012年度の模倣被害率(模倣被害社数1,011社/有効回答社数4,324社)は、23.4%(前年度比1.5%増)、インターネット上で被害受けた企業は模倣被害を受けた企業のうち53.9%(前年度比0.3%増)であり、模倣被害は高止まりしている。

 国別では、模倣被害を受けた企業の64.4%が中国において、22.8%が韓国において被害を受けたと回答しており、これらの国での被害が依然として高い水準にある。また、これらに次いで、模倣被害を受けた企業のうち19.1%の企業がアセアン6ヵ国(インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、ベトナム、フィリピン)において被害を受けたと回答している。

 模倣品・サービスの製造国・地域については模倣被害を受けた企業1,011社のうち、621社が模倣品・サービスは中国で製造されていると回答しており、依然として中国での被害が高水準にある。なお、中国で製造された模倣品・サービスが、中国自国内で販売提供被害に遭ったと回答している企業の比率が高いが、韓国、台湾、欧州、北米などの地域でも比較的高い。フィリピンで製造されているとの回答数は14社であった。
 
 模倣品・サービスの経由国・地域については中国(被害社数:241社)を挙げる企業の回答が最も高く、次いで台湾(同63社)、韓国(同50社)、欧州(同44社)が続く。ただし、不明との回答も多く(同120社)、経由地域の把握は困難であることが窺われる。フィリピンという回答は6社であった。

 模倣品・サービスの販売提供国・地域については、中国(同516社)での被害社が多く、次いで韓国(同195 社)、台湾(同192社)等アジアでの被害が中心となっている。一方で、欧州(同150社)、北米(同128社)での被害社も多い。フィリピンでの被害社は52社であった。

 企業等の模倣対策の実施率は、51.3%と前年度比0.4%増加している。中国を中心としたアジア地域における模倣被害対策が重視され、対策の強化を図る傾向が窺える。フィリピンでの対策実施率は5.2%、対策強化予定比率は1.6%であった(13年3月14日の日本経済産業省特許庁発表より)。