JICAや横浜市、セブの長期都市ビジョン策定支援
2013/03/13
横浜の3企業も環境改善・代替エネ等の取り組み
国際協力機構(JICA)は、「フィリピン・メトロセブ持続的な環境都市構築のための情報収集・確認調査」プロジェクトにおいて、セブ都市圏(メトロセブ)の開発計画策定を支援している。
メトロセブは、フィリピン第2の都市圏であり、人口約230万人(セブ市は100万人)を擁するフィリピン中部の経済中心地である。近年マクタン経済特区など、産業集積も進められ民間企業進出を期待する声も高い。また、同地域は国際的な海洋リゾートとしても有名であり、環境に配慮した持続可能な都市開発が求められている。
現在メトロセブでは、公民連携の協議体「メトロセブ開発調整員会(MCDCB)」、セブ州知事(議長)、セブ市長(副議長)、アボイティス財団理事長(副議長)、国レベル、州レベルの諸機関、メトロセブに属する自治体、民間企業の参加の下、中期計画の策定が進められている。
今回のプロジェクトは、2011年10月に横浜市とJICAとで結ばれた都市課題の解決等を目的とした連携協定、及び2012年3月に締結された横浜市とセブ市による都市づくりに関する連携協定に基づき、セブ市からの要請に基づいて実施されているものである。
セブの地域特性を踏まえ強み・弱みを分析した上で、セブ市を中心としたメトロセブのステークホルダーが目指す、環境に配慮した都市開発コンセプト案作成支援及び主要な開発課題の抽出を目的としている。すなわち、セブ市を含む13地方自治体(メトロセブ)の長期都市ビジョンづくりを支援している(横浜市がアドバイザーとして参加)。
メトロセブ側は、横浜市の都市開発の経験【長期的計画に基づき、環境に配慮して都市課題(渋滞、廃棄物、下水等)を解決し、都市空間の再編成(みなとみらい等)を実現】を高く評価している。
JICAは2012年12月より調査を開始し、2013年3月6日に開催されたワークショップにて、行政関係者(セブ市長を含む6市長等)、ビジネスセクター関係者(セブ商工会議所等)により、開発ビジョン、コンセプト、開発の方向性等を以下の通り合意された。
・キャッチフレーズ: Making W.A.V.E..S(Wholesome, Advanced, Vibrant, Equitable, Sustainable)
・ビジョン・ステートメント: A vibrant, equitable, sustainable and competitive environment that embraces Cebu's creativity and its cultural, historical and natural resources, with strong citizen participation and responsive governance
・ビジョン実現のための4つの戦略: ①Competitiveness ②Mobility ③Livability ④Metropolitan Management
・各戦略の下で必要な事業群を提案: 道路、軌道系マストランジット、水供給改善、下水設備、産業振興等
なお、横浜市所在の中小企業3社が、「中小企業等の海外展開支援に係る委託事業」(外務省)を通じて、メトロセブの都市課題解決(汚泥処理、廃棄物リサイクル、太陽光発電)に向けた取り組みを実施中である。JICAは、このような中小企業のビジネス活動を上記ビジョンに位置付け、海外展開を支援していく方針である。
2013年3月20日にメトロセブ開発調整員会の理事会において、上記ビジョンが承認される予定である(13年3月11日のJICA発表などより)