フィリピンの「重要な安全性の懸念」指定解除
2013/03/06
国際民間航空機関(ICAO)が正式決定
規制緩和で比航空業界の事業拡大期待
フィリピン民間航空局(CAAP)は3月5日に、国連社会理事会の専門機関の一つである国際民間航空機関(ICAO)が、フィリピンに対する「重要な安全性の懸念(SSC)」指定を正式に解除した」と発表した。
SSCは、ICAOの安全監査の基準に満たない国・地域について指定するもので、これに基づいて、米国連邦航空局(USFAA)や欧州連合(EU)は、SSC指定された国・地域の航空会社について乗り入れ、増便、新路線の開設などを制限している。このSSC指定が解除されれば、フィリピン航空業界の増便、路線拡充など事業機会拡大、ひいてはフィリピン観光産業の発展につながると期待される。
フィリピン航空業界は、ICAOによるSSC指定以降、欧米などの乗り入れに大きな制約が課せられてきた。ICAOの判断に伴い、米国連邦航空局(USFAA)は、フィリピン航空業界の安全性基準を「カテゴリー2」へと格下げした。この「カテゴリー2」への格下げにより、フィリピン航空会社は、米国乗り入れ便の増便、新路線の開設、臨時便やチャーター便の運航、未就航の航空会社による就航などが禁じられた。
また、EUも、2010年3月30日に行われた13回目の「EU航空安全リスト」更新において、ICAOの安全性評価に基づいて、フィリピンのすべての航空会社をブラックリストに加えた。すなわち、フィリピンの航空会社のEU乗り入れが禁止され、現在も禁止措置が継続されているのである。フィリピンはこのような状況を打破すべく改善に向けて努力してきた。
ICAOは今年2月に、フィリピン民間航空局(CAAP)の国際航空安全基準順守への取り組みを視察するため、フィリピンへ検証団を派遣した。今回のICAO検証団は視察後、フィリピンの取り組みに満足感を表明し、ICAO本部(カナダ、モントリオール州)にSSC判断を取り下げるよう提言すると発表した。ICAOチームは3月1日付けの書面で、「フィリピンの講じてきた改善措置は、SSC指定解除の条件を満たしていると判断できる」と明言した。したがって、SSC指定解除は時間の問題との期待が高まっていたが、予想以上に早い時期の正式指定解除となった。
ICAOのSSC指定解除を受け、フィリピン航空業界は、USFAA「カテゴリー1」への復帰、EUのブラックリスト指定解除などの早期実現を目指し、関係機関と調整していく方針である(13年3月5日のフィリピン民間航空局発表などより)。