キリン出資のサンミゲル・ビール、非上場企業に
2013/02/18
浮動株式基準未達成で自主的上場廃止を決定
キリン、依然好投資対象として出資継続方針
キリン・ホールディングス(キリン)出資のサンミゲル・ブリュワリー(サンミゲル・ビール=SMB)は、2月15日の取締役会において、フィリピン証券取引所(PSE)からの自主的上場廃止を決議した。
SMBのPSEからの自主的上場廃止は、PSEの浮動株式比率基準(最低10%)未達成であることによる。PSEは、上場企業に対しこの基準を2012年以内に達成することを命じている。そして、2013年1月から、浮動株式比率基準未達成企業の株式売買を停止した。そして、2013年6月末時点でも未達成の場合は、7月1日に上場廃止措置を講ずると発表している。6月末までに達成の場合は、その時点で売買停止措置が解除され、上場廃止も回避される。
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このSMB株式保有比率は、2012年12月末時点で、サンミゲル約51%、キリン・ホールディングス(キリン)約48.39%となっている。この大株主2社合計の保有比率は99.39%に達しており、浮動株式比率は僅か0.61%である。
このような状況下で、SMB大株主のキリンとサンミゲルは、SMBの浮動株式比率基準達成のための方策を討議してきた。第3者割当増資、大株主両社が保有株式を同数あるいが同率売り出し、あるいはサンミゲルのみが保有株式を売り出してキリンが筆頭株主になるなど様々な可能性が考えられてきた。
しかし、両社間で保有比率縮小などで現時点でも同意に至らず、自主的上場廃止決定に至ったのである。6月末にPSEによって上場廃止措置を講じられるより、期限前の自主的上場廃止の方が、再上場が容易であるという判断もあったようだ。SMBは、自主的上場廃止に向けて、3月4日~4月3日まで、少数株主向けの公開買い付け(TOB)を実施する計画である。公開買い付け価格は1株当たり20ペソである。
SMBは非上場企業となるが、主要株主であるキリンは、投資価値は依然非常に高いとして、SMBへの現行の投資をそのまま継続する方針のようである。そして、再上場の道を模索していくものと見られる。
なお既に、一昨年から今年にかけて、台湾系のフィリピン中國信託商業銀行、シンガポール系のケッぺル・フィリピン・マリーン(KPM)、PLDT傘下のPLDTコミュニケーション&エナジー・ベンチャーズ社(PCEV社)やディジテル、最大の乳業メーカーであるアラスカ・ミルク、有力投資銀行であるファースト・メトロ・インベストメント、道路企業メトロパシフィック・トールウェイズ(MPTC)、有力不動産企業イートン・プロパティーズやサンミゲル・プロパティーズなどが浮動株式比率最低基準達成ではなく、最終期限前の自主的上場廃止の道を選択している(13年2月18日のフィリピン証券取引所回覧1578-2013号などより)。
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