マニラの富裕層、投資対象トップは住宅・建物
2013/02/17
2位宝石・貴金属、3位土地、4位株式、5位投信
60%が毎月一定額預金:博報堂アジア14都市比較
博報堂は、グローバル市場でのマーケティング戦略に活用するためのオリジナル生活者調査『Global HABIT(グローバルハビット)』を2000年より毎年、アジアと欧米の主要34都市で中・上位収入層を対象に実施している。
そして、日本企業がグローバル市場で戦うためのヒントを全10回シリーズで紹介する。2月15日の第7回レポートでは、アジア14都市生活者の「暮らし向き・お金に対する考え方・資産形成」について分析した結果が報告されている。
アジア14都市とは、 香港、台北、ソウル、シンガポール、クアラルンプール、バンコク、マニラ首都圏、ジャカルタ、ホーチミンシティ、デリー、ムンバイ、北京、上海、広州である。参考として東京も含まれている。その結果は以下の通り。
1.暮らし向きの状況&見通し
経済的な暮らし向きの状況や今後の見通しについて5段階評価で聞いたところ、14都市中7都市で暮らし向きが「昨年より良くなった」と感じる生活者が5割を超え、14都市中13都市で1年後の見通しが「良くなる」が5割を超えた。総じてアジア生活者は暮らし向きが改善したと感じ、今後に明るい見通しを持っている様子が伺える。特にこの傾向が強いのは、インド2都市(デリーとムンバイ)とマニラ首都圏である。
マニラ首都圏では「昨年より良くなった」と感じる比率が66.1%で、ムンバイの84.8%、デリーの72.5%に次ぐ第3位となっている。1年後の見通しが「良くなる」との比率は86.4%で、ムンバイの97.4%に次ぐ第2位となっている。
一方、東京の生活者は、暮らし向きの状況が「良くなった」は1割程度、今後の見通しが「良くなる」は2割程度と、今回対象となった14都市に比べるとかなり低い結果となっている。
2.お金に対する考え方
お金についてあてはまる考え方などについて聞いたところ、「毎月決まった額を貯金」は北京以外の13都市で1位か2位で、「世の中お金で決まることが多い」は14都市全てでトップ5に入っておりこの2つは全都市共通と言えそうだが、3位以降は都市によって傾向が異なる。ちなみに、東京の1位は「自分がもらう年金に不安を感じる(75.1%)」で、2位以下を約25%以上引き離す結果となっている。
アジア14都市平均の第1位は「毎月決まった額を貯金(56.7%)」。次いで2位「世の中はすべて金で決まることが多い(39.4%)」、3位「お金は命の次に大事なもの(37.4%)」、4位「金融商品の良し悪しについて、自分なりに判断できる(32.4%)」、5位「クレジットカードを使うことに抵抗はない(32.3%)」と続く。
マニラ首都圏では、第1位が「毎月決まった額を貯金(60.0%)」、第2位が「いろいろな投資情報に関心がある(42.1%)」、第3位が「お金についてあれこれ言うのは品の良いことではない(30.1%)」、第4位が「金融商品の良し悪しについて、自分なりに判断できる(24.1%)」、第5位が「世の中はすべて金で決まることが多い(23.9%)」と続く。なお、他の都市で上位を占める「お金は命の次に大事なもの」は、マニラ首都圏では17.8%で、14都市平均の37.4%の半分以下であった。
3.資産形成としての投資
資産形成のために行っていることについて聞いたところ、台北(95.0%)、ムンバイ(72.8%)、香港(70.1%)、ソウル(59.5%)の4都市では株式や宝石・貴金属などの投資を行っている生活者の割合が高い。一方、それ以外の10都市では「何もやっていない」がほぼ半数を超えているが、高い経済成長率を背景に、金融商品市場としてのポテンシャルを秘めているといえるだろう。
なお、各都市の投資1位に注目すると3つのグループに大別される結果となった。
・「株式」派:香港、シンガポール、台北、ソウル、上海、北京、広州
・「宝石・貴金属」派:バンコク、ジャカルタ、デリー、ムンバイ
・「家・マンション・建物」「土地」派:クアラルンプール、マニラ首都圏、ホーチミンシティ
マニラ首都圏では、資産形成のための投資をしているという比率が32.3%、特に何もしていないという比率が67.4%であった。投資対象1位は家・マンション・建物(10.8%)、第2位が宝石・貴金属(9.4%)、3位が土地(9.1%)、4位が株式(3.2%)、5位が投資信託(1.4%)、債券(0.9%)であった(13年2月15日の株式会社博報堂発表より)。