在フィリピン日本大使館で安全対策連絡協議会

2013/01/28

アルジェリアでの多数の犠牲者発生を受けて
テロ対策や和平枠組合意奏功も依然要注意

 アルジェリア南東部のイナメナスにおいて、天然ガスプラントが武装集団に襲撃され、邦人を含む外国人多数が犠牲となる事件が発生したことを受け、1月25日に、在フィリピン日本国大使館において、安全対策連絡協議会が開催された。

 冒頭,竹若マニラ総領事が、今回の事件の犠牲者に対して哀悼の意を表すとともに、現地情勢や説明等を行った。

 それによると、現在,ミンダナオ地方に出張中の大使館員によると、今回の事件によりすぐさまミンダナオのムスリム勢力が刺激を受けたという情報はない。この背景には、フィリピン政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)との間で枠組み合意が署名され、MILFが和平交渉を進めるという立場をとっていることが大きいと考えられる。

 また、フィリピン政府はアブ・サヤフ・グループ(ASG)やジュマ・イスラミヤ(JI)に対する殲滅作戦を行ってきており、この対テロ対策はある程度効果をあげてきている。さらに,比政府はマレーシア政府やインドネシア政府と対テロ対策に係る協力体制を敷いており、比較的良く機能している。

 しかしながら、南ラナオ,マギンダナオ州やコタバト州でのテロ活動の可能性、バシラン州やスールー州でのASGのテロ活動の可能性は排除されない。フィリピン国内のテロ活動については、その動向を引き続き注視していく必要性がある。

 フィリピンにおける安全対策について、大使館作成資料に基づき,大使館員が「基本的な心構え」、「テロ対策」、「誘拐対策」及び「企業における安全対策」を説明した。
 そして、緊急時の連絡先を大使館と共有するとともに、各邦人関係団体内部における連絡網の確認、及び日頃から緊急連絡訓練を行うよう依頼した。また、在留届提出励行も依頼した。

 マニラ市のエルミタ地区などにおいて,旅行者が頻繁に窃盗等の犯罪被害に遭っていることへの対策に関する質問に対しては、「被害者は何らかの油断か隙があり、そこを犯罪者に狙われている。したがって、防犯対策について、旅行者に何度も注意喚起しておくことが大切である。他方、それらの具体的な被害の情報・データがあれば、大使館へ提出、それに基づいて関係当局へ取締強化の要請を行いたい」と回答された。

 また、「 フィリピン人による詐欺、美人局等といったいわゆるセットアップ被害が多く、旅行者の言語問題からフィリピン人とトラブルとなるケースが多いと感じている。何らかの広報をしてもらえないか」との質問に対しては、「これら犯罪手口については、大使館館ホームページや外務省ホームページにてすでに注意喚起を行ってきている。しかし、その被害が顕著となっている、あるいは増加しているということであれば、その詳細な情報やデータ定急があれば、大使館で渡航情報(スポット情報)等の発出について改めて検討する。なお、フィリピンでは、恨みを買わないことが非常に重要な防犯対策であると言える」との回答がなされた(13年1月28日の在フィリピン日本大使館発表より)。