フィリピン・カジノ事業での4千万ドル贈賄疑惑など調査
2013/01/24
ユニバーサルエンターテインメント第三者委員会始動
カジノ・娯楽関連企業ユニバーサルエンターテインメント(旧社名アルゼ、ジャスダック上場、以下UE)のフィリピン大型カジノ・リゾートプロジェクト検証第三者委員会が本格始動した。
既報の通り、UEは、1月7日に、UE社がフィリピンで進めている大型カジノ・リゾートプロジェクトの検証を行う第三者委員会を設置すると発表した。UEは、「より公正中立な検証等を進めるべく、日本弁護士連合会策定による第三者委員会ガイドラインに沿って、UEと利害関係のない弁護士等で構成する調査委員会(第三者委員会)の設置を1月7日に決定した」と説明した。
1月10日には、第3者委員会の委員が決定された。決定された委員は、危機管理専門家の金重凱之氏(元警察庁警備局長)、弁護士の内田輝紀氏、弁護士の浜田卓二郎氏である。
1月24日には、第三者委員会の委員の審議に基づき、委員長を金重凱之氏とした。そして、第三者委員会の調査期間、調査対象、調査方法等の詳細が、以下のように決定された。
<第三者委員会の調査の目的及び対象、方法等>
(1)調査の目的
①UEフィリピン事業にかかる報道を受けて、主として4,000万ドルの支払いに関する事実関係、発生原因および問題点の調査分析を行うこと。
②フリーレポートなる文書にて指摘されている費用について、これに関する事実関係、発生原因および問題点の調査分析を行うこと。
③上記①②に関連して、米国の海外腐敗防止法上の観点等から、法的問題の存否について検証を行うこと。
(2)調査の対象
①前記4,000万ドルの支払いに関する事実関係
②上記①の事実認定を前提とした経理処理の内容
③上記①②の事実認定を前提とした内部統制上の問題の有無と提言等
④フリーレポートなる調査報告書にて指摘されている費用に関する事実関係
⑤上記④の事実認定を前提とした法的問題の検討(米国の海外腐敗防止法、内部統制上の問題を含む。)及びこれらに対する提言等
⑥その他第三者委員会が調査の必要性を認めた一切の事実関係
(3)調査の方法
1月10日の各委員選任後、関係資料が提供され、各委員が基礎調査を進めている。基礎調査を経て、調査委員会の審議に基づいて、前記調査の目的及び対象が定められているが、調査の順序としては、調査対象のうち①(前記4,000万ドルの支払いに関する事実関係)を優先して調査すべきとの決定がなされている。
また、経理処理の適切さを検証すべき必要性から、第三者委員会において、1月24日、調査担当として公認会計士の選任が別途なされている。
上記調査に係る最終答申書の提出は2013年5月末日と予定されている。UEは第三者委員会による調査の結果、明らかとなった事実関係等については、速やかな適時開示を行っていくとコメントしている。
なお、フィリピン政府は、国家プロジェクトとして観光事業を強力に推進することを目的に、マ二ラ湾岸沿いに「マニラベイ・エンターテインメントシティー」を創設、UEグループを含む4グループのカジノ複合リゾート施設の開発が行われつつある。
UEグープルのプロジェクトは『マニラベイ・リゾーツ』と称され、世界最大規模のカジノ施設を含む豪華ホテルや高級レストラン、商業施設、バジェットホテル、コンドミニアム、世界最大級の噴水やビーチクラブを兼備した一大複合リゾート開発が計画されている。
UEグループ゚は、2008年7月にプロジェクト用地取得、2008年8月に暫定カジノ・ライセンス取得などの準備を進めてきた。UE社の推定総投資額は20億ドル超とも報じられてきている。
しかし、この事業における認可プロセスなどにおいて、UEグループからフィリピン賭博公社の当時のトップなどに巨額の不正資金が流れたのではとの疑惑が生じたのである(13年1月24日の株式会社ユニバーサルエンターテインメントIRリリースなどより)。