汚職疑惑のカジノ企業ユニバーサルEに様々な動き

2013/01/17

検証第3者委員会の委員決定、FBIは捜査員派遣
大手不動産企業ロビンソンズランドとの提携合意

 既報の通り、日本の大手カジノ・娯楽関連企業であるユニバーサルエンターテインメント(旧社名アルゼ、ジャスダック上場、以下UE)は、1月7日に、UE社がフィリピンで進めている大型カジノ・リゾートプロジェクトの検証を行う第三者委員会を設置すると発表した。

 UEは、「ロイター及び朝日新聞等の一部報道機関が、UEグループが進めるカジノ・リゾート事業に関して、あたかも不正な資金の提供が行われたかの如く、妥当性及び公平性を著しく欠く事実と異なる報道を行っている」とのこれまでの主張を繰り返すとともに、「より公正中立な検証等を進めるべく、日本弁護士連合会策定による第三者委員会ガイドライン(2010年7月15日公表)に沿って、UEと利害関係のない弁護士等で構成する調査委員会(第三者委員会)の設置を1月7日に決定した」と説明した。

 そして、1月10日には、第3者委員会の委員が決定された。決定された委員は、危機管理専門家の金重凱之氏(元警察庁警備局長)、弁護士の内田輝紀氏、弁護士の浜田卓二郎氏である。
 UEは第三者委員会においては、厳正かつ徹底した調査を行った後、UEに対して調査報告書の提出がなされる予定であり、これら調査の結果明らかになった事実関係等については、速やかに開示を行なって行くと表明している。

 これに先立ちUEは、12月4日にも、トムソン・ロイター社(ロイター)の報道記事によって、名誉または信用毀損等の損害を被ったとして、ロイター並びにその編集者や記者に対し、損害賠償(総額192億円)の一部(2億円)請求訴訟を提起している。

 一方、ロイターによると、フィリピンのカジノ規制当局である娯楽賭博公社(PAGCOR)のナギアット会長は1月15日に、このカジノ事業を巡る汚職疑惑に関して米連邦捜査局(FBI)がマニラに捜査官を派遣したことを明らかにした。FBIはUEの岡田氏の動きに関心を示しているとのことでもある。また、フィリピン国家捜査局(NBI)も賄賂の可能性を調べているとのことである。

 このような状況下において、12月12日には、UEグループとフィリピンの不動産開発大手であるロビンソンズ・ランド(RLC)が、UEグループのカジノ・リゾートプロジェクト『マニラベイ・リゾーツ』に関して、基本合意書に署名している。基本合意された主な内容は以下の通り。
1.RLCが、当該プロジェクトの運営会社となるタイガーリゾーツ、レジャー&エンターテインメント(現在UEグループが100%所有)の少数株式を取得する。
2.RLCは、当該プロジェクトの土地保有会社イーグル Ⅰランド・ホールディングス(UEの連結子会社)の過半株式を取得する。
3.RLCは、当該プロジェクトの商業施設、バジェット・ホテル、住宅施設の開発を担う。
4.最終契約は2013年1月31日までに行うものとする。

 フィリピン政府は、国家プロジェクトとして観光事業を強力に推進することを目的に、マ二ラ湾岸沿いに「マニラベイ・エンターテインメントシティー」を創設、UEグループを含む4グループのカジノ複合リゾート施設の開発が行われつつある。

 UEグープルのプロジェクトは『マニラベイ・リゾーツ』と称され、世界最大規模のカジノ施設を含む豪華ホテルや高級レストラン、商業施設、バジェットホテル、コンドミニアム、世界最大級の噴水やビーチクラブを兼備した一大複合リゾート開発が計画されている。
 UEグループ゚は、2008年7月にプロジェクト用地取得、2008年8月に暫定カジノ・ライセンス取得などの準備を進めてきた。UE社の推定総投資額は20億ドル超とも報じられてきている。
 
 しかし、この事業における認可プロセスなどにおいて、UEグループからフィリピン賭博公社の当時のトップなどに巨額の不正資金が流れたのではとの疑惑が生じたのである。

 この時期に、フィリピンを代表する有力財閥の一つであるゴコンウェイ・ファミリー傘下の大手不動産ロビンソンズ・ランドが、UEとの提携基本合意書に署名したことも注目されている(株式会社ユニバーサルエンターテインメントIRリリース、ロビンソンズランド発表などより)