キリン出資のサンミゲル・ビール等、新年から売買停止に

2012/12/31

10社に浮動株式比率最低基準(10%)未達成の罰則措置
13年6月までに未達成の場合はPSE上場廃止に

  フィリピン証券取引所(PSE)の浮動株式比率最低基準(10%)達成の最終期限が到来した。

 証券取引委員会(SEC)やPSEは、PSE上場企業に対し、この浮動株式比率最低基準を2011年11月30日までに達成するよう指示した。2012年は猶予期間となったが、2012年以内に達成しないと上場廃止を含むペナルティーを課すと警告してきた。

 期限が迫っても最低基準を達成できない企業は、2012年末という浮動株式比率基準達成期限を、6カ月間~12か月猶予するよう要請した。しかし、証券取引委員会(SEC)は達成期限延長要請を拒否した。
 SECの拒否を受けて、PSEは、「2013年1月から、浮動株式比率基準未達成企業の株式売買を停止する。そして、2013年6月末時点でも未達成の場合は、7月1日に上場廃止とする」と発表した。6月末までに達成の場合は、その時点で売買停止措置が解除され、上場廃止も回避される。

 2011年7月時点で、この最低基準未達成上場企業は27社であった。その後、売り出しや増資などにより最低基準を達成、あるいは自主的上場廃止選択などにより、未達成企業は減少、12月28日現在で、10社まで減少した。未達成上昇企業と浮動株式比率は以下の通り。

 フィルコムサット(浮動株式比率9.60%)、アルファランド(8.03%)、サウスイーストアジア・セメント(2.41%)、PALホールディングス(2.30%)、コスモス・ボトリング(1.79%)、アライドバンク(1.51%)、ネックスステージ(1.20%)、サンミゲル・ビール(0.61%)、石油探査公社=PNOC-EC(0.21%)、サンミゲル・プロパティーズ(0.06%)。

 したがって、この10社の株式は、2013年年初から売買停止となる。そして、6か月以内に最低基準を達成できない場合は、上場廃止となる。

 特に注目されるのは、キリン・ホールディングス(キリン)出資のサンミゲル・ビール(SMB)の動きである。このSMB株式保有比率は、2012年9月末時点で、サンミゲル約51%、キリン・ホールディングス(キリン)約48.39%となっている。
 キリンとサンミゲルは、SMBの浮動株式比率基準達成のための方策を討議してきた。第3者割当増資、両社が保有株式を同数あるいは同率売り出し、あるいはサンミゲルのみが保有株式を売り出してキリンが筆頭株主になるなど様々な可能性が考えられてきた。今後も、最低基準達成に向けての両社の討議が継続されることになる。
 
 なお既に、昨年から今年にかけて、台湾系のフィリピン中國信託商業銀行、シンガポール系のケッぺル・フィリピン・マリーン(KPM)、PLDT傘下のPLDTコミュニケーション&エナジー・ベンチャーズ社(PCEV社)やディジテル、最大の乳業メーカーであるアラスカ・ミルク、有力投資銀行であるファースト・メトロ・インベストメント、道路企業メトロパシフィック・トールウェイズ(MPTC)などが、有力不動産企業イートン・プロパティーズばどが浮動株式比率最低基準達成ではなく、期限前の自主的上場廃止の道を選択している(12年12月28日のフィリピン証券取引所発表などより)。