中央銀行、ペソ投機や外資流入急増に対応

2012/12/27

 各行のNDFs(外為差金決済契約)量的規制へ

 ペソ対米ドルレートは、12月26日時点で年初から6.1%上昇と強い動きとなっている。


 12月27日付け各紙電子版によると、フィリピン中央銀行(BSP)は、外資流入急増やペソ対ドルレート上昇は、実需以外に、ノンデリバラブル・フォワード(NDFs)を利用した投機の動きに影響されていると判断している。また、NDFsの乱用を放置すると、外為市場の不安定さを増すことになると懸念している。

 NDFsとは、実際の通貨総額の受け渡しを伴わない短期の通貨先渡取引のことである。取引時に当事者間で設定したレートと、決済期日の市場レートとの差額を算出し、差損益だけを決済する仕組み。

 NDFsは元来、為替リスクヘッジの手段として登場した。しかし、最近は投機など、本来のヘッジ目的以外に利用されるケースが増え、NDFs残高が増加している。

 報道によると、中央銀行は、NDFsの為替リスクヘッジという目的以外の乱用を防ぐため、来年2月にも、NDFsポジション上限設定という新しい規制(量的規制)を導入する意向である。具体的には、国内金融機関のNDFsポジションは自己資本の20%以内、外国金融機関は自己資本の100%以内と制限されるようである。

 なお、中央銀行は、2012年年初から、NDFsの為替リスクヘッジという目的以外の乱用を防ぐため、金融機関自己資本(CAR)算出におけるNDFsのマーケットリスク・ウエイトの引上げという対策を導入している。今回は、量的規制という直接的でより強力な措置となる。