世界銀行、フィリピン成長率予想を再々上方修正

2012/12/20

今年6.0%(前回5%)、来年6.2%(同)、再来年6.4%に

 

 世界銀行は12月19日に、東アジア・大洋州地域経済報告書2012年秋季号の改訂版を発表した。

 その改訂版において、世界銀行は、東アジア・大洋州地域の成長率(GDP実質成長率、以下同様)は、2012年に7.5%と、2011年の8.3%を下回るが、2013年には7.9%に回復すると予想している。

 また、中国を除く東アジアの途上国の成長率は、2011年の4.4%から2012年には5.6%に上昇すると予想している。この回復の要因としては、2011年に洪水に見舞われたタイの回復、フィリピンの高成長、インドネシアとベトナムの景気減速が比較的緩やかだったことなどがある。
 フィリピン、インドネシア、マレーシアの経済が引き続き堅調なため、中国を除く東アジア途上国の景気を押し上げ、2013年の成長率は5.7%、2014年は5.8%になると見ている。世界の輸出市場の需要が低迷する中、域内の大半の国では内需が引き続き成長の主たる原動力となっているとのことでもある。

 その一方で、この地域のモメンタムを損ないかねない重大なリスク・ファクターとして、特にユーロ圏の改革の遅れ、米国の「財政の崖」、中国の投資の急激な失速を挙げている。
 また、G3諸国(米国、日本、ユーロ圏諸国)における新たな金融緩和が同地域への大量の資本流入の引き金となり、ひいては資産バブルや過剰な信用拡大を招き、将来急激な資本流出のリスクを高めかねないとの懸念についても論じている。

 フィリピン成長率(実質GDP成長率)に関しては、2012年6.0%、2013年6.2%、2014年6.4%と予想している。世界銀行は、10月8日発表の東アジア・大洋州地域経済報告書において、フィリピンの成長率を2012年5.0%、2013も年5.0%と予想していた。したがって、短期間で大幅上方修正されたことになる。

 世界銀行は、5月23日発表の東アジア・大洋州地域経済報告書春季号において、2012年成長率を4.2%と予想していたが、7月19日発表のフィリピン四半期見通し(PQU)7月号において、4.6%へと上方修正している。したがって、今回は再々上方修正ということになる。世界銀行は、フィリピン経済は内需主導の底堅い成長を続けていると評価している。

 なお、アジア開発銀行(ADB)も10月3日発表の「2012年アジア経済見通し改訂版」(ADO2012改訂版)において、フィリピン成長率を5.5%と予想、4月時点の予想4.8%から大幅上方修正した(12年12月19日の世界銀行発表などより)。