贈賄疑惑のユニバーサルE、さらなる反撃

2012/12/14

フィリピンでウィン・リゾーツ社会長を告訴
先般のロイター告訴と同様の名誉棄損罪で

 

 日本のカジノ・娯楽関連企業であるユニバーサルエンターテインメント(旧社名アルゼ、ジャスダック上場、以下UE)は、贈賄疑惑問題における反撃の動きを強めた。

 UEは12月13日に、「米国のウィン・リゾーツ社(NASDAQ公開)と係争中であるが、今年2月19日(米国時間)にウィン・リゾーツ社が同社ホームページ上に掲載したプレスリリースによって、フィリピンにおけるUEの100%子会社であるタイガーリゾーツ、レジャー&エンターテインメント(タイガーリゾーツ)が名誉毀損等の損害を被ったため、タイガーリゾーツが告訴人となり、ウィン・リゾーツ社取締役会長であるスティーブ・A・ウィン氏個人(被告訴人と)を、フィリピン司法省パラニャーケ市検察庁に、フィリピン刑法第353 条による複数の名誉毀損罪により刑事告訴した」と発表した。その告訴では、経緯が以下のように記されている。

<UE側が主張する経緯(タイガーリゾーツの訴状)>
1.UEの岡田和生取締役会長と被告訴人の間では、とりわけマカオでウィン・リゾーツ社のマカオにおける子会社であるウィン・マカオ・リミテッドがマカオ大学開発基金へ約束した高額な寄付に対する岡田会長の反対に関して紛争が生じた。

2. 岡田会長の反対は被告訴人にとって受け入れがたいものであった。調査により、マカオでの巨額の寄付の目的が不適切かつ違法なものであるということが露呈してしまうことを恐れたのである。このことから、被告訴人はフィリピンプロジェクトを口実にして、(UE及びUE子会社のAruze USAを通じた)岡田会長の保有株式を奪取し、岡田会長をウィン・リゾーツ社から追い出すことになった。

3. ウィン・リゾーツ社取締役会は、「フィリピンは腐敗した国である」と決めつけて、岡田会長とその会社はフィリピンプロジェクトにおいて汚職行為にかかわったことに違いないと断定し、さらに岡田会長をウィン・リゾーツ社の副会長の役職から解任することを決定した。

4. 被告訴人はその後、ルイス・フリー氏及びその事務所であるフリー・スポーキン・アンド・サリバン・エルエルピーを雇用して、岡田会長とその会社の汚職行為疑惑について調査を行った。調査は明らかに後からの思い付きであり、コンプライアンス委員会の根拠のない認定を正当化する目的で依頼されたものであった。

5. 被告訴人は故意に不当な主張を行うフリー氏のレポートがマスコミに流れるように仕向け、いくつかの新聞にレポートの内容を報道させた。

6.2012年2月19日、ウィン・リゾーツ社は、被告訴人の指示及び管理の下、悪意で全世界に向けたプレスリリースをそのウェブサイト上に掲載した。そこには岡田会長及びその関係者及びその会社、すなわち告訴人、UE及びAruze USA に対する名誉毀損となる内容が記載されていた。

7.本件のインターネットによる名誉毀損は、フィリピン司法省が2012年11月26日に発した「サイバー犯罪についての指針」により、インターネットによる名誉毀損は現行の修正刑法の名誉毀損に関する条項によって処理し、起訴することができるものである。

 なお、UEは、12月4日にも、トムソン・ロイター社(ロイター)の報道記事によって、名誉または信用毀損等の損害を被ったとして、ロイター並びにその編集者や記者に対し、損害賠償(総額192億円)の一部(2億円)請求訴訟を提起している(12年12月13日の株式会社ユニバーサルエンターテインメント発表より)。