フィリピン債券市場高成長、16%増の3.8兆ペソに

2012/11/25

ベトナム21%増、シンガポール18%増に次ぐ増加率
国債15%増の3.3兆ペソ、社債26%増の5,140億ペソ
社債残高最大はサンミゲル・ビールの452億ペソ

 アジア開発銀行(ADB)は11月22日に、東アジア債券市場の動向に関する報告書「アジア債券モニター」(ABM)最新版2012年11月号(2012年第3四半期実績)を発表した。

 「アジア債券モニター」(ABM)は、ASEAN6カ国(フィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム)、中国、韓国、香港という合計9カ国・地域の現地通貨建て債券市場の変化を定期的に調査・分析しているもの。

 ABM最新版によると、2012年第3四半期(7月~9月)の東アジア新興国9カ国・地域の現地通貨建て(LCY)債券発行額は、前年同期比4.5%減(現地通貨ベース、以下同様)の8,260億ドル相当にとどまった。社債発行額が同45.4%増の2,610億ドル相当と急増したが、国債発行額が同14.8%減の6,110億ドル相当、中央銀行債券発行額は同27.7%減の3,870億ドル僧徒と低調であった。民間企業の発行意欲が非常に旺盛で会った一方、公的機関や金融当局の発行スタンスが抑制的であった。

 これらの結果、2012年第3四半期末(9月末)時点の発行残高は、前年同期末比11%増の6兆2,420億ドル相当に達した。伸び率が高かったのは、ベトナムの同21.4%増、シンガポールの同18.1%増、フィリピンの同16.1%増、マレーシアの15.7%増、タイの14.4%増であった。
 種類別では、政府債の発行残高が同7.8%増の4兆0,800億ドル相当、民間企業社債・金融債(社債)発行残高が同17..6%増の2兆1,620億ドル相当であった。

 LCY債券総発行残高上位国・地域は、1位中国3兆6,540億ドル相当(前年同期比10.8%増)、2位韓国1兆3,700億ドル相当(同9.6%増)、3位マレーシア3,180億ドル相当(同15.7%増)。フィリピンは910億ドル相当(同16.1%増、シェア1.5%)で8位、最下位の9位はベトナム210億ドル相当(同21.4%増)であった。

 フィリピンのペソ建て債券発行残高は、前年同期末比16.1%増の3兆8,010億ペソ。そのうち、政府債が同14.7%増の3兆2,860億ペソ(構成比86.5%)、社債が同26.1%増の5,140億ペソ(構成比13.5%)であった。
 
 ペソ建て社債発行残高の企業別トップはサンミゲル・ブリュワリー(SMB=サンミゲル・ビール)の452億ペソ。以下、2位BDOユニバンク380億ペソ、3位SMインベストメント361億ペソ、4位アヤラコープ360億ペソ、5位アヤラランド305億ペソ、6位フィリピン・ナショナル・バンク(PNB)219億ペソ、7位リサール商業銀行(RCBC)210億ペソ、8位メラルコ194億ペソ、9位メトロバンク185億ペソ、10位PLDT175億ペソ続く(12年11月22日のアジア開発銀行プレスリリースなどより)。