ユニバーサルEのマニラ湾巨大カジノ構想に暗雲
2012/11/19
贈賄容疑捜査本格化、外資土地保有規制にも抵触
比賭博公社がカジノ免許取消の可能性を示唆
日本のカジノ・娯楽関連企業であるユニバーサルエンターテインメント(旧社名アルゼ、ジャスダック上場、以下UE)の、フィリピン大規模カジノ事業における贈賄容疑調査が本格化しつつある。
フィリピン賭博公社(PAGCOR)は11月19日に「ロイターの報道によって、UEがマニラ湾岸で建設している巨大カジノリゾートをめぐって、UEの子会社が、PGCORのヘニュイーノ前会長の側近でPGCORのコンサルタントであったロドルフォ・ソリアーノ氏に500万米ドルの賄賂を支払ったとの容疑が浮上していることや、その贈賄容疑を米国捜査当局が調査していることが判明した」と発表した。
そして、「PAGCORは、米国捜査当局による新たな不正疑惑調査を歓迎する。PAGCORが2011年に提訴した、ヘニュイーノ前会長やロドルフォ・ソリアーノ氏による1億8,600万ペソの不正行為疑惑の解明ピッチが速まることにつながる」ともコメントした
ロイター報道によると、ラスベガスを拠点とするネバダ州カジノ規制委員会(NGB)が、日本などに調査員を派遣し、ロドルフォ・ソリアーノ氏に流れた資金の詳細を調べているとのことである。NGBの調査とは別に、ユニバーサルの元社員2人が米連邦捜査局(FBI)に対し、ソリアーノ氏への送金について証言しているとのことである。
そして、ユニバーサルの送金書類などによると、ユニバーサルからフィリピン側に流れ出たとみられる資金の総額は4,000万ドル(約32億円)に達する可能性があるとのことである。
PAGCORは「ヘニュイーノ前会長時代におけるUEのカジノ・ライセンス取得などに関して重大な疑惑がある」として、法務省や国家捜査局(NBI)に対して、米国FBIと協力して、事実解明を進めるよう要請した。また、UEは、外資企業による土地保有比率上限は40%という憲法規定に違反して可能性があるとも指摘した。
PAGCORは、「UEが不正手段により取得したことが立証されれば、既に発行されたカジノ・ライセンスが取り消されることになろう。ただし、適切な捜査プロセスを経ることが不可欠である。また、外資企業による土地保有比率上限が遵守されなければ、カジノ開業は承認されない」とコメントした。
なお、UE社グループ゚は2008年より、フィリピン首都圏マニラ湾岸埋立地で計画され、フィリピンの国家事業として注目されているマニラ湾岸沿いの「マニラ・ベイ・エンターテインメント・シティ」にてカジノ・ホテルリゾートの開発を計画し、2008年7月にプロジェクト用地取得、2008年8月に暫定カジノ・ライセンス取得などの準備を進めてきた。UE社の推定総投資額は20億ドル超とも報じられてきている(12年11月19日のフィリピン賭博公社発表などより)。