パナソニック、フィリピンの業績は上向きに

2012/11/18

上半期の営業損益、7,545万ペソの黒字に転換
純利益5.6倍の1,654万ペソもピーク時には遠い
 

 パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ(PMPC、会計期末3月)が、2012年度上半期(12年4月~9月)報告書を提出した。

PMPCの設立は1963年5月14日(旧名フェスティバル・マニュファクチャリング社)。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は、2012年9月末時点で79.96%である。

 PMPCの2012年度上半期の純売上高は、前年同期比9.5%増の34億6,025万ペソとなり、前年同期の17%減収からは改善した。前年同期の東日本大震災や福島原発事故にともなう商品供給減という大きなマイナス要因がなくなったこと、販売促進効果などにより増収となった。具体的には、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、エアコンなどの売り上げが増加した。
 
 損益面では、原材料価格安定化などで原価率が72.0%へと低下した(前年同期は73.9%)。また、販売費は前年同期比7.3%増の6億1,082万ペソとにとどまった。この結果、営業損益は7,545万ペソの黒字に転換(前年同期は2,155万ペソの赤字)。税金引当額が同50.6%増の2,144万ペソへと増加したが、純利益は同457%増(約5.6倍)の1,654万ペソへと大幅増加した。また、今上半期の配当率は10%(1株当たり配当額0.1ペソ)で、前年同期の5%から上昇した。

 2011年度上半期は、競争激化や景気低迷、東日本大震災や福島原発事故等の影響で、同17%の減収、営業赤字という不振な決算を余儀なくされたが、2012年度はやや回復傾向となっている。もっとも、ピーク時利益には遥かに及ばない水準である。

 部門別売上高は、主力の家電・AV部門が同6.1%増の32億0,738万ペソ(構成比92.7%)、通信・セキュリティー関連機器が同60.5%増の2億1,670万ペソ(構成比6.3%)、環境関連製品が同84%増の600万ペソ(構成比0.2%)、その他が2,987万ペソ(構成比0.9%)であった。

 部門別営業損益は、家電・AV部門が8,811万ペソの黒字に転換した(前年同期は18万ペソの赤字)。一方、通信・セキュリティー機器部門の黒字が前年同期比12.3倍の459万ペソへと拡大した。また、環境関連製品部門の黒字も同16.3倍の278万ペソへと拡大した

 PMPCは、一段の生産効率化や環境配慮型製品(エコ製品)積極投入などによる業績向上を目指している。なお、今年4月1日付けで、三洋フィリピンのコールド・チェーン・ビジネスを取得した。この取得は、PMPCにとって、年間1億2,000万ペソの増収につながると試算される(パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズの2012年度上半期報告書などより)。

パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズの2012年度上半期の部門別売上高・損益動向(単位:千ペソ)
項目/部門 家電・AV 通信・安全機器 環境関連製品 その他 合計
売上高 3,207,380 216,999 6,000 29,871 3,460,250
前年度同期比 6.1%増加 60.5%増加 84.0%増加 前年同期ゼロ 9.5%増加
構成比 92.7% 6.3% 0.2% 0.9% 100.0%
総利益 949,609 56,691 610 -38,060 968,845
前年度同期比 15.4%増加 61.1%増加 5.0%増加 赤字8.9%拡大 17.6%増加
営業損益 88,106 4,592 2,778 -20,024 75,452
前年度同期比 黒字転換 黒字12.3倍に 黒字16.3倍に 赤字8.6%縮小 黒字転換
前年度上半期実績 -178 374 170 -21,920 -21,554
(出所:PMPC資料より作成)