日本企業、フィリピン農村での生理用ナプキン普及支援

2012/11/14

ミンドロ島で簡易生産体制構築や流通・販売活動
女性の生理事情に対する啓蒙や社会進出支援も

人口およそ9,500万人のフィリピンでは、女性が必要とする生理用ナプキンの普及率はおよそ32%とされ、未だ約2,000万人の女性がナプキンを使用できずにいる。

 一般に、途上国の女性は、ナプキンの不足により本来勉強や仕事などに費やすべき時間、年間で50日、一生の中での5年間分を失っているとされている。さらに、女性が使用するナプキンや生理事情に対する男性の理解が不足していることによって、女性の社会的な活動に対する大きな障害となっている。

 アジアの発展途上国で地域のイノベーター(発明家)との協働プロジェクトを展開する株式会社グランマ(東京都渋谷区渋谷4-2-5)は、今回、フィリピンと同様に、女性が直面する生理用ナプキンの課題を抱えていたインドで、生理用ナプキンの小型製造機を開発し、地域の女性たちと共に流通、製造、販売するしくみを産み出したイノベーター、アルナチャラン・ムルガルン氏に出会った。

 今回グランマは、ムルガルン氏の小型ナプキン製造機や生産・販売のノウハウをフィリピンに広めること、農村部で持続的なナプキンの生産体制の構築、また女性の生理事情に対する啓蒙活動、女性たちへの流通・販売を行う。女性たちがナプキンを手に入れることにより、学校や仕事に費やす時間を生むだけでなく、ナプキンの生産・販売による地域の雇用創出、また女性の社会的進出による地域のエンパワーメントにつながることを目指している。

 そして、11月12日~12月27日に「世界を変えるデザインを”届ける”」プロジェクト・イン・フィリピンを実施する。グランマは今回、フィリピンの中でも特にナプキン普及率が低いおよそ人口100万人のミンドロ島にターゲットを絞った。今後ミンドロ島を拠点にナプキンの生産体制を構築し、その島内の計5つの村、計1万人の人々に対し、ナプキンの重要性に対する啓蒙活動と、ナプキンの流通・販売活動を展開していく。
 

ミンドロ島の製造では、インドでムルガナンサン氏と共に製品改良・製造プロセスの改善を実現したアーカ・イノベーション社、フィリピンの環境を熟知したローカルのエンジニア達と協働する。
 流通/販売、啓蒙・啓発については、フィリピン農村地域の小規模商店(サリサリ・ストア)8,000店舗をネットワーク化し、オーナーへのトレーニングプログラムの提供、農村地域で求められる商品の流通/販売などを実践すハピノイ、フィリピン最大のマイクロファイナンス機関CARD(カード)と共に実行する。

 グランマは、ミンドロ島で実施するプロジェクトの運営資金を、日本初のクラウドファンディングサイト「READYFOR(レディフォー)」(https://readyfor.jp/)にて募集する。 資金調達目標は200万円(小型ナプキン製造機:45万円、原料調達費:40万円、輸送費10万円 、地エンジニアとの協働による機械改良費20万円、現地女性の人件費25万円啓蒙活動にかかる費用30万円)である。

 なお、グランマは、アジアの辺境地域に偏在する、「グラスルーツ(草の根レベル)・イノベーター」(限られた資源・環境の中で自らのアイデアを生活向上の手段へ昇華させ、新たな価値を産み出す人々)に光を当て、従来の途上国支援や貧困問題解決に見られるような“トップダウン”ではない、“ボトムアップ”のビジネスモデルをアジア諸国のパートナーとともに展開して行く方針である(12年11月12日の株式会社グランマのプレスリリースより)。