フィリピン等で自転車シェアリング導入を支援

2012/11/12

ADBが貧困削減日本基金から200万ドル拠出
日本、多様な基金設置での途上国支援も実施

 アジア開発銀行(ADB)はこのほど、域内向け自転車シェアリング導入プロジェクトへの無償援助支援を決定した。


 この事業の総経費200万ドルは「貧困削減日本基金」(JFPR)から拠出される。今回のプロジェクトでは、フィリピン(ダバオ)、ラオス(ビエンチャン)、およびインドネシア(都市未定)で試験的に導入される(計7拠点、約100台)。

 アジア太平洋地域における自動車・オートバイなどの車両数は、1980年代は世界(3億6000万台)の約9%であったが、2030年には全体(15億台)のほぼ半数に達するとの試算もある。

 低コストでCO2排出量ゼロの交通手段として世界各国で運用が拡大している自転車シェアリングがこれらの国に導入されれば、大気汚染や交通事故への対策になると見込まれる。特に、拠点で乗捨て可能な自転車シェアリングは、鉄道やバスなど公共交通機関の駅から目的地までの「あと1マイル」の移動手段として有効とみられる。

 ADB地域協力・持続的開発局(RSDD)では、このプロジェクトが成功すれば、アジアの他地域・都市にも展開したいとしている。

 なお、2000年5月に設立された「貧困削減日本基金」(JFPR)は、日本政府が拠出しADBが管理する基金であり、無償援助と技術協力によるアンタイド型ファシリティである。日本は途上国の貧困削減活動のためJFPRのほか、技術援助のための「日本特別基金(JSF)」、教育支援のための「日本奨学金制度(JSP)」等の特別基金・信託基金を通じて、ADBの活動を支援している。
 
 また、2007年に京都で開催された第40回ADB年次総会で発表した「アジアの持続的成長のための日本の貢献策(ESDA)」の一環として、「アジアクリーンエネルギー基金(ACEF)」と「投資環境整備基金(ICFF)」の2つの信託基金をADBに新たに設置し、ADBとのより一層の協力を図っている(12年11月6日のアジア開発銀行ニュースリリースなどより)。