住友鉱、今年度ミンダナオに265億円を投資

2012/11/06

タガニート・プロジェクト建設費(総額1千億円)

 住友金属鉱山(住友鉱)は、11月6日に 「2012年度の住友鉱グループの設備投資・投資は665億円(対前年度比 43%減)を予定している}と発表した。大型設備投資案件としては以下を予定している。


①タガニートプロジェクト建設費265億円(総額 13億米ドル)
②電気ニッケル増強 84 億円(総額140億円)
③水酸化ニッケルプリカーサー増強18億円(総額20億円)
④硫酸ニッケル増強9億円(総額60億円)
⑤菱刈鉱山下部鉱体開発1億円(総額32億円)

 今後世界のニッケル資源の確保には、低品位鉱石からのニッケル分の回収が必須であるが、HPAL(High Pressure Acid Leach:高圧硫酸浸出)法は、まさにこれまでニッケル分の回収が困難であった低品位のニッケル酸化鉱からニッケルやコバルトを回収する技術であり、住友金属鉱山はこの技術分野において現在世界のトップランナーとなっている。
 
 住友金属鉱山は2005年4月にフィリピン・パラワン島のCBNC(コーラルベイ・ニッケル社、社長:藤村隆則氏)において、このHPAL技術を用いた本格生産を開始し、その後世界ではじめて計画通りの商業生産を成功させた。また、この成功をもとに2009年4月にはCBNC における第2工場の垂直立ち上げを完了し、同社の生産能力を年間1万トンから2万2千トン(ニッケル量換算)へ増加させた。

 このような実績を背景として、住友金属鉱山はHPAL技術を用いたタガニート・プロジェクトを推進し、年産約6万5千トンのニッケル生産能力を、2013年度には同10万トンとすることにより、世界トップクラスのニッケル製錬メーカーの地位を確固たるものにするとともに、従来から戦略目標としている「非鉄メジャークラス」入りに向けて邁進していく方針。

 タガニート・プロジェクトにおいては、住友鉱傘下のタガニートHPAL社(THPAL、本社:首都圏マカティ市)がミンダナオ島北東部タガニート地区にて、ニッケル・コバルト混合硫化物( ニッケル品位約57%)を年間3万トン(ニッケル量換算)生産する。
 THPALの資本金は40億9,500万ペソ、出資比率 は住友金属鉱山 62.5%、ニッケル・アジア22.5%、三井物産15%となっている。

 昨年10月に発生したタガニート地区での武装勢力襲撃事件により、このプロジェクトの進行は当初予定より半年程度遅れる見通しであるが、2013年度中には商業生産が開始される見込みである(12年11月6日の住友金属鉱山株式会社ニュースリリースなどより)