大陽日酸がクラークへの進出正式決定、3千万ドル投資

2012/10/06

子会社インガスコが空気分離工場建設、工業ガス製造

9月4日に1万8千平米の工場用地の賃貸契約署名

 

 工業ガス大手の大陽日酸が、フィリピンでの生産能力を大幅増強する。


 大陽日酸のフィリピン子会社インガスコと、フィリピンのクラーク開発公社(CDC)は、10月4日に、インガスコによるクラークにおける空気分離工場用地の賃貸契約に署名した。この用地はパンダイ・ピラ通り沿いに立地しており、面積は1万7,816平米。両者は既に、空気分離工場設置で大筋合意していたが、今回の賃貸契約署名でインガスコのクラーク進出が本決まりとなった。
 
 大陽日酸は現在、フィリピン・ルソン地域に2カ所の主要生産拠点を有しており、現時点での液化ガス生産能力シェア約60%でフィリピン首位となっている。工業ガスの一層の需要増に対応すべく、大陽日酸はインガスコを通じて、クラークに空気分離工場を設置、工業ガス生産能力を増強する。クラークへの投資額は約3,000万ドルとなる見込み。
 
 空気分離施設は、空気を圧縮し、冷却液化して蒸留により酸素・窒素・アルゴンに分離する装置である。大陽日酸は、空気分離装置の専門メーカーとして、日本最大の実績を有している。
 
 クラーク自由港経済区には、テキサス・インスツルメンツ(TI)やフェニックス・セミコンダクター・フィリピンズ(PSPC)などの産業ガス大口需要家が立地している。これらの需要家向け供給体制が強化される。

 なお、インガスコは工業ガスの製造・販売、その他ガス輸入販売、工業ガス関連機器の輸入販売、据え付け、配管工事などを手掛けている。大陽日酸の出資比率は70%である。大陽日酸はこのほか、タイヨー・ニッポンサンソ・フィリピン、ピリピナス・トータルガスというフィリピン拠点を有している(12年10月4日のクラーク開発公社発表などより)。