テラモーターズ、フィリピンで3年内にEV生産へ

2012/09/28

来年に輸入販売開始、比を海外事業の核に

 電動バイクの開発・製造・販売を行うテラモーターズ(本社:東京都渋谷区)は9月28日に、フィリピン首都圏マカティ市において、メディア向けに、フィリピンでの電動車両(EV)事業に関する説明会を開催した。


 この説明会においては、テラモーターズの徳重徹代表取締役らが同社の会社概要やフィリピン事業方針などを説明するとともに、電動バイクやサイドカーを取り付けた簡易トライシクル(3輪車)タイプの車両が披露された。

 テラモータ―ズはフィリピンでは、電動バイク、スマートフォンタイプの高付加価値型電動バイク、アジア銀行開発(ADB)プロジェクトに基づく電動トライシクル(三輪車)、それ以外の電動トライシクルという4分野の事業展開を検討している。当面の中核事業は、ADBプロジェクト対応電動トライシクルとなる。

 テラモータ―ズは先頃、「今年12月にフィリピンのマニラに現地法人(資本金2億円)を設立し、電動三輪タクシー(電動トライシクル)事業に参入する事を決定した」と発表している。

 ADBプロジェクトは、ADBの支援(各自治体へ融資)中心に合計215億ペソを投入、全国で350万台以上稼働中とされているトライシクルのうち、2016年までに10万台を電動トライシクルに置き換えるというもの。それにより、トライシクルの燃料消費量の2.8%(石油に換算して56万926バレル)削減を目指す。今年10月2日には、まず5,000台の電動トライシクル導入のための入札実施予定であり、複数の日系企業・グループも応札する見込みである。

 テラモーターズも、まずこのADB支援プロジェクトへの応札による事業獲得を目指す。それとは別に、現地民間銀行からの融資による事業展開、すなわち2つのスキームで、フィリピン電動トライシクル事業に参入する。 そして、2015年までに合弁による電動トライシクル生産体制を整える方針である。現在、合弁相手を選定中でもある。ADBプロジェクト車両(6人乗り)は1台4,000~5,000ドル程度になりそうであるとのこと。

 電動バイクに関しては、まず、上級タイプのBIZMO(日本での車両本体価格は29万4,000円)の輸入販売を開始する。来年にショールーム第1号店を開設する計画である。現地販売価格は、市場調査などを経て決定される。

 なお、テラモーターズの設立は2010年4月で現行資本金(準備金も含む)は6億6,210万円。2年半という非常に若い企業ながら、2011年度の電動バイク販売台数は約3,000台で日本のトップ電動バイク企業へと躍進、今年度は倍増の6,000台、金額にして約10億円に達する見込み。ベトナムホーチミン市ロンアン省や中国の浙江省奉化市経済開発区に工場を有している。

 現在の株主は徳重徹氏のほか、みずほキャピタル、ウエルインベストメント(早稲田VC)、出井伸之氏 (ソニー元会長)、辻野晃一郎氏 (グーグル日本法人元代表取締役社長)、村井勝氏 (コンパックコンピュータ㈱元社長)、平内優氏 (クオンタムリープ代表取締役社長)、福武 總一郎氏(ベネッセホールディングス取締役会長)らである。

 テラモーターズは今後も、国内市場の拡大を推進するとともに、かねてからのビジョンである日本発のグローバル電動車両(EV)ベンチャーの創業に向けて、フィリピンを含む海外市場を積極的に開拓するほか、様々な国家的プロジェクトへの参画を行っていく。そして、10年内の売上高1,000億円達成を目指す。