サンミゲルによる比史上最大の増資が完了

2012/09/23

新優先株発行、調達額は約800億ペソに
既存優先株約730億ペソの償還も実施

 サンミゲルの新優先株(シリーズ2)の公募が完了した。


 サンミゲルは今年6月14日の株主総会において、新優先株(シリーズ2)の創設や発行、授権資本額の現行225億ペソから300億ペソへの33%増額などを決議した。

 その決議に沿って、8月13日~9月14日まで優先株・シリーズ2(1株当たり額面:5ペソ)の公募を実施した。基本公募数は9億6,000万株であるが、増額オプション(1億0,700万株)のフル行使で10億6,700万株となる。1株当たり公募価格は75ペソであり、調達総額は約800億2,500万ペソ。これは、フィリピンでの個別企業による株式市場での史上最大の調達額となる。

 証券取引委員会(SEC)は9月21日付けで、上記のサンミゲルの授権資本額増額や優先株・シリーズ2の創設を最終承認した。この承認にともない、優先株シリーズ2公募の応募者は9月21日付けで、正式にサンミゲルの株主と認定された。すなわち、サンミゲルのフィリピン史上最大の増資が完了したことになる。

 サンミゲルは優先株・シリーズ2発行の一方で、既存の優先株・シリーズ1(2009年発行、1株当たり額面:5ペソ)全株の償還を実施しつつある。具体的には、9月11日現在の優先株シリーズ1保有者に対し、元本と未払い配当相当の金額を支払う。1株当たり元本償還額は75ペソである。支払い日は10月5日と予定されている。

 優先株・シリーズ1の上場株数は約9億7,000万株、償還金額は1株当たり75ペソ。したがって、償還総額も約730億ペソと高水準である。シリーズ2の発行は、シリーズ1の償還財源手当の色彩も強いが、シリーズ1は償還後も消却せず、金庫株(発行会社による自社株保有)扱いになる。

 したがって、300億ペソへと増額される授権資本の内訳は、普通株式が189億5,000万ペソ(37億9,000万株、1株当たり額面5ペソ)、優先株・シリーズ1が55億5,000万ペソ(11億1,000万株、1株当たり額面5ペソ)、優先株・シリーズ2が55億ペソ(11億株、1株当たり額面5ペソ)となる(12年9月21日のフィリピン証券取引所回覧6823-2012号などより)。