上半期の経常収支黒字、31%増の36.8億ドル

2012/09/22

経常黒字対GDP比率は3.1%(前年同期2.6%)
OFW送金額が貿易赤字を大幅に上回る
 

 フィリピン中央銀行(BSP)は9月21日、2012年第2四半期(4月~6月)及び上半期(1月~6月)の国際総合収支を発表した。


 [2012年第2四半期の国際総合収支動向]
 下表のとおり、第2四半期の経常収支黒字は前年同期比48.5%増の28億3,100万米ドルに達し対GNI比は3.5%、対GDP比は4.6%へ上昇した。 海外フィリピン人就労者(OFW)送金が4.8%増の54億7,100万米ドルとなり、物資貿易赤字24億0.900万米ドルの約2.3倍に達したことで、経常収支黒字が一段と拡大した。

 しかし、国際総合収支の黒字は前年同期比95.2%減の7,300万米ドルに激減。対GNI比、対GDP比共に0.1%にとどまった。これは、金融収支が大幅な赤字に転落したことによる。欧州の一部の国々の債務危機などを背景に、資本純流入額が減少した。

 なお、2012年6月末の総外貨準備高(GIR)は前年同月末比10.3%増の761億ドルに達した。これは物資・サービス輸入の11.2カ月分に相当する。

 [2012年上半期の動向]
  上半期の経常収支黒字は前年同期比30.9%増の36億7,500万ドルとなった。経常収支黒字の対GNI比は2.4%、GDP比は3.1%で各々前年同期の2.0%、2.6%から上昇した。OFW送金が前年同期比5.1%増の104億8,300万ドルに達し、物資貿易赤字の64億3,800万ドルをカバーするだけでなく、経常収支黒字を継続させたこととなった。

 第2四半期と同様、資本金融収支が大幅赤字に転落したことで、上半期の国際総合収支の黒字は73.8%減の13億1,600万ドルへと大幅減少した。対GNI比、対GDP比は0.8%、1.1%で各々前年同期の3.5%、4.7%から急低下した。

 [国際総合収支発表について]
 中央銀行は国際収支(BOP)積み上げ方式統計に関して、2003年10月にそれまでの毎月発表から四半期毎の発表へ変更することを決定した。これは、統計内容の確認、モニター、調整を強化し、より精度の高い統計を発表することが目的である。
 
 ただし中央銀行は、毎月、純外貨準備高(NIR)の変動から算出した国際総合収支推計速報値を発表している。ちなみに、最新数値は、9月19日に発表された2012年8月分速報値。それによると、2012年年初8カ月間の黒字は前年同期比43.6%減の50億8,000万ドルであった。しかし、上記のような積み上げ方式の国際総合収支発表は四半期に1回のみである(12年9月21日のフィリピン中央銀行発表より)。

 2012年第2四半期及び上半期の国際総合収支内訳(単位:百万米ドル)

項目 第2四半期 上半期
12年 11年 伸び率(%) 12年 11年 伸び率(%)
経常収支 2831 1906 48.5 3675 2808 30.9
 対GNI比(%) 3.5 2.6 - 2.4 2.0 -
 対GDP比(%) 4.6 3.4 - 3.1 2.6 -
物資・サービス貿易収支 -2111 -2873 赤字26.5%縮小 -5031 -5883 赤字14.5%縮小
 対GNI比(%) -2.6 -3.9 - -3.2 -4.1 -
 対GDP比(%) -3.4 -5.1 - -4.3 -5.5 -
    輸出 17549 15771 11.3 34526 31664 9.0
    輸入 19660 18644 5.4 39557 37547 5.4
 物資貿易収支 -2409 -3323 赤字27.5%縮小 -6438 -7283 赤字11.6%縮小
 サービス貿易収支 298 450 -33.8 1407 1400 0.5
   OFW送金額合計 5471 5218 4.8 10483 9973 5.1
    うち銀行経由分 5286 5041 4.9 10128 9636 5.1
資本金融収支 -1541 70 赤字転落 -1206 3726 赤字転落
 資本収支 38 35 8.6 64 67 -4.5
 金融収支 -1579 35 赤字転落 -1270 3659 赤字転落
誤差脱漏(ネットベース) -1217 -453 - -1153 -1518 -
国際総合収支 73 1523 -95.2 1316 5016 -73.8
対GNI比(%) 0.1 2.0 - 0.8 3.5 -
対GDP比(%) 0.1 2.7 - 1.1 4.7 -

(出所:BSP資料より作成、注:12年第2四半期は全て速報値)