フィリピン中央銀行、政策金利据置き決定

2012/09/13

翌日物貸出金利3.75%、貸出金利5.75%を継続 

 中央銀行(BSP)金融委員会は、9月13日に開催された定例会議(年10回開催)において、政策金利である翌日物金利の据え置きを決定した。 

 この決定により、翌日物借入金利は3.75%、翌日物貸出金利は5.75%が継続されることになった。前回7月26日開催の定例会議では0.25%の利下げが決定されたが、今回は据え置きとなった。

 今回の金融委員会の決定は、インフレ期待は抑制されており当面のインフレ率は目標圏内に留まるであろうという分析と、前回までに行われた今年3回の利下げ(合計0.75%)効果もあって、国内景気は堅調に推移しており、第2四半期GDP成長率が5.9%とASEAN第2位の高さであったことによる。

 すなわち、インフレ抑制と景気支援という両面から、現行の金融政策は適切と判断されたのである。ちなみに、中央銀行の最新分析では、2012年、2013年のインフレ率はともに、インフレ目標4%±1%(3%~5%)に落ち着く見通しである。

 フィリピン経済は堅調ながら世界経済の先行きに関する不透明感が強まっているなかで、一部には、世界経済変調リスクに対する予防的措置として追加利下げを求める声もあった。しかし、世界の石油や穀物市況が反騰し、国内でも8月の首都圏を中心とする洪水によるインフレ率の若干の上昇という状況では、追加利下げを行うべきでなく、前回までの3回の利下げ効果が依然継続しており、それで十分との判断がなされた。
 
 BSPは「引き続き、インフレ抑制のために物価や需要動向を注視していく。それと同時に、景気の安定的な拡大にも配慮していく」との方針を表明した(12年9月13日のフィリピン中央銀行発表より)。

フィリピンのインフレ率目標と実績の推移(実績は2000年基準値)

  2008年 2009年 2010年 2011年 2012~14年
インフレ目標 3.0~5.0% 2.5~4.5% 3.5~5.5% 3.0~5.0% 3.0~5.0%
インフレ率実績(2000年基準) 9.3% 3.2% 3.8% 4.4%
(出所:フィリピン中央銀行資料などから作成)