アラスカ・ミルク、11月5日に自主的上場廃止へ
2012/09/03
PSE上場企業の自主的上場廃止続く可能性
フィリピン最大の乳業メーカーであるアラスカ・ミルクは9月3日に、フィリピン証券取引所(PSE)に対し、今年11月5日付けでPSEから自主的上場廃止することを申請した。自主的上場廃止申請の背景は以下の通り。
オランダを本拠地とする国際的な乳業メーカーであるロイヤル・フリースランド・カンピーナ(RFC)は、従来からアラスカ・ミルク株式約8%保有していたが、今年3月に、アラスカ・ミルク創業者であり筆頭株主であったUytengsuファミリーから、アラスカミルク株式60.5%を取得、すなわち買収することで合意した。
この60.5%追加取得により、RFCのアラスカミルク株式保有比率は約68.5%に上昇した。この買収に伴い、RFCはアラスカ・ミルク小数株主に対するアラスカ・ミルク株式公開買い付け(TOB)を実施した。このTOBにおいて、RFCはアラスカミルク株式をさらに約29.2%取得取得、現在の保有比率は約97.7%に達している。
一方、アラスカ・ミルクの浮動株式比率は急低下、フィリピン証券取引所(PSE)の最低基準である10%を大幅に割り込んだ。
PSEは、PSE上場企業に対し、この浮動株式比率最低基準(10%)を昨年11月30日までに達成するよう指示した。2012年中は猶予期間となるが、2012年以内に達成しないと上場廃止と罰金というペナルティーを課せられる。7月16日現在、この浮動株式比率最低基準未達成企業は27社であるとのこと。
アラスカ・ミルクは、浮動株式比率最低基準達成のための最終期限が到来する前に、自主的上場廃止申請を決定したのである。主要株主であるRFCはアラスカミルク少数株主に対する再TOBを9月5日~10月2日まで実施する。
既に、昨年から今年前半にかけて、台湾系のフィリピン中國信託商業銀行、シンガポール系のケッぺル・フィリピン・マリーン(KPM)、PLDT傘下のPLDTコミュニケーション&エナジー・ベンチャーズ社(PCEV社)やディジテルなどが、浮動株式比率最低基準達成ではなく、自主的上場廃止の道を選択している。
メトロパシフィック・インベストメント(MPIC)グループにおいて道路事業を担当するメトロパシフィック・トールウェイズ(MPTC、浮動株式比率0.2%)も自主的上場廃止を申請する可能性が高まっている。
このほか、サンミゲル・ビール(浮動株式比率0.61%)、サンミゲル・ピュアフーズ(同0.08%)、サンミゲル・プロパティーズ(同0.06%)という浮動株式比率が非常に低いサンミゲル・グループ企業などの動向が注目される(12年9月3日のフィリピン証券取引所回覧6433-2012号などより)。