第2四半期GDP成長率、5.9%(前年3.6%)に
2012/08/30
ASEANでインドネシア(6.4%)に次ぐ高成長
サービス7.6%、鉱工業4.6%、農林水産0.7%
上半期6.1%成長で年間目標(5~6%)超に
国家統計調整委員会(NSCB)は8月30日に、2012年第2四半期のフィリピン国民経済計算統計(2000年基準)を発表した。
[2012年第2四半期動向]第2四半期GDP成長率(前年同期比実質ベース:以下同様)は5.9%で、前期の6.3%(改定値:以下同様)から鈍化したが、前年同期の3.6%からは大幅に改善した。また、民間エコノミストによる事前予想コンセンサス5.3%をかなり上回った。セクター別成長率は、サービス産業が7.6%、鉱工業が4.6%、農林水産業は0.7%であった。
第2四半期もサービス部門が牽引役となった。また、製造業の持続的成長と建設部門の急回復、堅調な家計消費支出(5.7%増)、輸出の持ち直し(8.3%増)などが寄与した。なお、季節調整済み前期比成長率は0.2%で、前期の3.0%、前年同期の0.5%から鈍化した。
国家経済開発庁(NEDA)によると、フィリピンのGDP成長率(5.9%)は、ASEAN(東南アジア諸国連合)域内の平均成長率4.7%(速報値)を大幅に上回った。ASEAN主要加盟国のGDP成長率は、インドネシア6.4%、マレーシア5.4%、ベトナム4.4%、タイ4.2%、シンガポール2.0%であった。フィリピンはインドネシアに次いで2番目に高い成長率とを記録した。ちなみに、中国の成長率は7.8%であった。
一方、GNI成長率は5.6%となり、前期の5.1%及び前年同期の2.4%から改善した。OFW送金など海外からの純所得(NPI )が回復した(4.5%増)ことによる。
[2012年上半期(1~6月)動向]
上半期のGDP成長率は6.1%(前年同期は4.2%)、GNI成長率は5.4%(前年同期は3.0%)へとそれぞれ拡大した。
セクター別成長率は、主力のサービス産業が7.8%(前年同期は4.7%)、鉱工業が4.9%(前年同期は2.7%)と前年同期を大幅に上回った。一方、農林水産業は0.8%で、前年同期の6.3%から大幅鈍化したが、前年下半期のマイナス成長からは回復した。
支出項目別伸び率は、家計最終消費支出伸び率が5.4%、政府最終消費支出は12.3%。また、GDPのマイナス勘定となる輸入の伸び率が0.6%と急鈍化(前年同期は4.6%)。一方、輸出伸び率は9.5%と急拡大(前年同期は1.9%)、GDP成長率拡大に大きく寄与した。
[政府関係機関のコメントや今後の対応]
国家経済開発庁(NEDA)は、「主に公共投資の促進と固定資本形成の回復などが第2四半期の堅調な成長をもたらした」と分析。第2四半期中、公共建設への政府支出は前年同期比45.7%増と増え、一方、固定資本形成はマイナス成長からプラス成長に転じた。
政府のインフラ整備への支出加速、低インフレ率、輸出の回復、堅調な観光部門、安定したOFW送金流入、国内景況感向上などが良好なGDP成長率に寄与した。
政府は2012年年間のGDP成長率目標を5.0~6.0%に設定しているが、十分達成可能と判断している。政府は引き続き、世界景気鈍化などの経済成長を阻むリスク要素を監視していく方針である(12年8月30日の国家統計調整委員会資料より)。