エーザイのフィリピン販社、労働争議平和的解決

2012/08/06

労使が3年間の包括的協約締結、ストライキ回避

 労働雇用省のロサリンダ・バルロス長官は8月2日に、「ハイ・エーザイ・ファーマシューティカル(HEF、本社フィリピン・マカティ市)の労使が、3年間の団体協定(CAB)を締結した」と発表した。



 このCABは、2012年に4月1日に遡ってスタート、2015年3月30日まで有効となる。そして、HEFの52名の労働者へ780万ペソの金銭的便益を与える経済パッケージを含んでいる。

 HEFは今年前半の労使の待遇交渉において対立、経営陣が5月3日に事業所閉鎖を通告、労働組合側はCAB行き詰まりと会社側の不当労働行為を理由にストライキ通告を行うに至った。ちなみに、HEF労組は、最大の労組団体「フリーワーカー連盟」と連携している。

 この労使対立を受けて、労働雇用省傘下の国家調停仲裁委員会(NCMB)が仲裁に入り調停活動を続けた結果、HEF労使は和解、7月18日に上記のCAB締結に至った。このCABは金銭的便益の合意だけでなく、契約期間中の労使の強調や継続的な安定を謳っているとのことである。

 なお、ハイ・エーザイ・ファーマシューティカル(HEF)は、エーザイ本社、シンガポールのエーザイ・アジア、及びフィリピンのユーチェンコ・グループの持ち株会社であるハウス・オブ・インベストメント(HI)との合弁の医薬品販売企業である。エーザイの持ち株比率は49%。設立は1974年7月、資本金は5,625万ペソである(12年8月3日のフィリピン労働雇用省発表などより)。