横浜タイヤ・フィリピン、社会貢献活動を推進

2012/08/02

環境保護や支援活動の代名詞的存在に
 

 横浜ゴムは、7月31日に、横浜ゴムグループのCSR(企業の社会的責任)活動をまとめた「CSRレポート2012(全32ページ)」を発行した。同時に、同レポートの詳細版をホームページ(URL:http://www.yrc.co.jp/csr/index.html)に掲載している。


 横浜ゴムグループは、「社会からゆるぎない信頼を得ている地球貢献企業になる」ことをCSR経営ビジョンに据えており、国内外でCSR活動を推進している。フィリピンにおける製造拠点である横浜タイヤ・フィリピン(YTPI)の環境・社会への貢献意識も高く、フィリピン国内でトップレベルの環境貢献企業として、全従業員参加型の地域社会への貢献を継続的に行っている。YTPIの名は環境保護や支援プロジェクトの代名詞のような存在とも受け止められるようになってきている。また、YTPIだけでなく、横浜ゴムグループ全体のCSR活動に対する地元コミュニティやビジネス界の注目も高まっている。

 「CSRレポート2012」においては、特集2として横浜タイヤ・フィリピン(YTPI)のCSR活動が、以下のように紹介されている。

<安全健康な職場環境の整備>
 YTPIは、従業員とその家族が心身共に健康な生活を送れるよう、さまざまな形でサポートを行っている。
2010年度はアジア地域でのインフルエンザ発生率がほかの地域に比べて高いことに着目し、従業員へのインフルエンザ予防接種を実施。2011年度は従業員とその家族、1,830人に接種を行った。社内でのインフルエンザ流行を防ぎ、従業員の感染による欠勤を減らすことを目的としている。

 また、2011年度からは女性従業員を対象に、子宮頸がんのワクチン接種の取り組みも開始した。子宮頸がんは、若い女性の罹患率が高い病気であるが、ワクチンの接種によって予防することができる。2011年度は、101人の女性従業員がワクチンの接種を受けた。それとともに、子宮頸がんの原因や予防法への理解と意識を高めるための啓発にも力を入れている。
 今後もこの予防プログラムを継続的に実施し、従業員やその家族の健康に影響を与えるさまざまな病気を防ぐ方針である。

<台風被害を受けた地域への支援>
 2011年12月、大型台風センドン(国際名Washi)がフィリピン南部のミンダナオ島を襲い、大規模な洪水や地滑りが発生し、死者・行方不明者合わせて1,500人以上という大きな被害を出した。これに際して、YTPIでは従業員が率先して被災地域への募金を行った。
 以前から、YTPIは「Show you care, Give a Share」プログラムの下、従業員からの募金を使い、従業員参加型の地域貢献を推進するような支援活動を行っており、多くの従業員がCSR活動に積極的にかかわってきた。今回は、ミンダナオ島における台風被害の甚大さに衝撃を受けた従業員らが自ら被災地支援のための寄付呼びかけを提案。従業員1,948人中、573人が現金、薬品、衣料などの寄付に応じた。また、YTPI主催のクリスマスパーティにおいても、寄付を呼びかけるブースが出され、ここでも寄付が集まった。
 最終的には、地方政府を通じて、被害のひどかった都市の一つであるイリガンの住民に17,000錠の薬品を提供。また、現地法人のクラーク開発公社の協力により、ミンダナオ島全体で中古衣料27袋分を配布することができた。現金による寄付も106,040フィリピンペソ(約20万円)にのぼり、フィリピンの最貧困層のための住宅や持続可能なコミュニティーの建設に取り組む現地NGO「Gawad Kalinga」へと贈られた。今後、台風被害で家を失った人たちの住宅建設支援などに使われる予定である。

<環境負荷低減に取り組むEMSチーム>
 事業の一部として取り組むべき重要課題である環境負荷の低減についても、EMS(Environmental Management Section)チームが中心となって、さまざまな取り組みを進めている。
 
 廃棄物のリサイクル・リユースにも力を入れており、現在では通常ごみとして捨てられていたものの約88%がリサイクルやリユースに回されるようになった。例えば、不要になった廃タイヤは、地元の市民グループに寄付(2011年11月から)。スリッパやポット、フェンスなどの材料として再利用されている。また、ラベル台紙も地元の女性グループに寄付され、バッグや写真フレームなどを編む材料として用いられるようになった。
 
 さらに、使用済みの鉛電池についても、フィリピン最大の総合メディア会社ABS-CBNが設立した基金「AFI」に提供。AFIはこれを、リサイクル会社を通じて現金化し、その利益を環境保全への意識向上を目指すプログラムの運営基金に回すという仕組みになっている。

 また、持続可能な発展や環境保全についての地元の人々の意識向上に貢献するため、地域の学校における環境教育プログラムを展開してきた。子どもたちが環境保全に必要な知識やスキルを身につけ、コミュニティーの、そして社会全体の持続可能な発展に寄与できるよう、「環境」をテーマとしたオリエンテーションを実施している。

 2011年度は、地元のマラバニアス小学校およびセパン・バト高等学校から合計200人の生徒を対象にオリエンテーションを実施。そこで得たごみ分別などの知識をすぐに実践に移せるよう、リサイクル梱包資材を原料としてYTPI内で作られたごみ入れも贈呈した。参加した生徒たちが学校に戻った後、身につけた知識やスキルを周囲に伝えていくことで、コミュニティー全体にも良い影響がもたらされると考え、同様の活動を継続していく予定である。

 植樹による環境保全にも積極的に取り組んでおり、事業所のあるコミュニティーだけではなくその外へも活動を広げていくことを目指している。2011年度は、5月に地元のシニューラ小学校で、生徒や教員らはYTPIのボランティア従業員と共に苗木100本分の植樹を実施。7月にはフィリピン軍と協力してアラヤット国立公園で苗木600本を、10月には聖ロザリオ小学校の生徒たちと共に、ルバオの町で苗木100本を植樹した。
 これらの苗木は、横浜ゴムグループが国内外で展開する「千年の杜プロジェクト」で育てられたもの。今後、より広い範囲で植樹活動を展開し、さらなる環境保全への貢献を目指す(12年7月31日の横浜ゴム株式会社ニュースリリースなどより)。