東芝、大容量高速回転の2.5型HDD商品化
2012/07/24
業界最大級の900GB、8月からフィリピンで量産
東芝は、業界最大クラスの記憶容量900GB(ギガバイト)を実現した毎分10,500回転のエンタープライズ向け2.5型ハードディスク装置(HDD)「AL13SEB900」をはじめとした全4機種を商品化し、8月にフィリピンで量産を開始する。
新商品「AL13SEB900」は、磁気ヘッドやディスクの磁性層を改良することにより、面記録密度 856 Mbit/mm2(552 Gbpsi)を実現し、記憶容量900GBを達成した。また、線記録密度を向上させることにより、従来機種「MBF2600RC」に比べ内部転送レートが約32%改善し、内部転送レート286 MB/sを実現した。
新商品全機種は、東芝として初めてトラッキング用の位置決め機構に当社独自開発の2段アクチュエータを採用した。2段アクチュエータは、従来の1段アクチュエータに加え、トラッキング用アームの先端部分にピエゾ(PZT)素子の精アクチュエータを搭載したもので、1段アクチュエータと比較して、位置決め精度を約30%改善できる。狭いトラック幅に対して、より高い精度でのトラッキングを実現した結果、ドライブとして安定した動作が可能になった
新商品「AL13SEB900」は、コントローラICによる消費電力の削減と同時に記憶容量の増加により、従来機種「MBF2600RC」に比べエネルギー消費効率が約41%改善している。また、新商品全機種はEU(欧州連合)RoHS指令への適合や、本体全体のハロゲンフリー/アンチモンフリーの実現など、人と環境に配慮した設計を行っている。
近年、エンタープライズ向けHDD市場においては、高速なデータ処理性能に加えて、発熱量の抑制、消費電力の低減、実装スペースの縮小などが求められており、従来主流だった3.5型HDDよりも、小型で低消費電力の2.5型HDDへの要望が高まっている。このような中、東芝は、大容量の900GBを実現した毎分10,500回転のエンタープライズ向け2.5型HDDを製品化することで、サーバやストレージシステムなどのエンタープライズ向けHDDのニーズに応えていく。
なお、東芝は、従来特化してきたモバイル市場向け小型HDDに加え、2009年に富士通のHDD事業を買収し、サーバ市場向けHDDにも事業分野を拡大した。また昨年7月には、社内カンパニーである「セミコンダクター社」と「ストレージプロダクツ社」を統合し、NAND型フラッシュメモリ、SSD、HDDを一社で併せ持つ、総合ストレージ事業を推進してきた。またHDDのタイ製造拠点を売却、ほぼフィリピンに集約しつつある。フィリピンの拠点は東芝情報機器・フィリピン社である(12年7月11日の株式会社東芝ニュースリリースなどより)。