花王、フィリピンで高級アルコール増産へ
2012/07/19
ピリピナス花王、30億円で生産能力1.4倍に
花王は、アジア地域を中心にした高級アルコールへの需要の伸長に対応するため、ピリピナス花王の高級アルコールの生産能力を約1.4倍に増強する。
花王は今回の生産能力の増強によりオレオケミカルの供給体制を整え、高級アルコールの誘導体品の拡販を強化する。増強工事は2013年8月に完了する予定である。また、投資額は約30億円を見込んでいる。
花王は2012年2月に花王インドネシア化学の新工場建設、2012年6月に上海金山区における花王(上海)化工有限公司の設立などを発表しており、今回のピリピナス花王の高級アルコールの生産能力増強を含めケミカル事業の設備投資を積極的に進めている。
高級アルコールは炭素数6以上のアルコールの総称である。家庭用製品のシャンプー、洗剤などに配合される界面活性剤の主原料をはじめ、工業用の洗浄剤、プラスチック加工用薬剤の原料として使用されることから幅広い用途があり、アジア地域での需要が伸長している。
ピリピナス花王の能力増強は、こうした需要拡大に対応するものである。高級アルコールの生産能力において世界トップクラスに位置する花王は、環境負荷の低い「触媒」、「製造プロセス」開発によるアルコール製造技術を用い、効率的に高品質のアルコール生産を行ない、伸張する需要に対して安定供給を一層万全にする体制を築いていく方針である。
花王の100%子会社であるピリピナス花王は、フィリピンの経済区庁PEZAの許認可を受け、ヤシ油を原料とする高級アルコールを生産し、その約90%を輸出するなどフィリピン経済の発展に貢献するとともに、1977年設立より30年以上、地元の雇用を創出している。
また、2008年より近隣住民のために歯科・内科の無料検診を実施するなど地域の生活文化の向上にも努めておいる。さらに、環境保全の取り組みとしては工場周辺などの沿岸域における「マングローブ再生プロジェクト」を発足し、環境天然資源省(DENR)と協働で、マングローブの植樹などにも取り組んでいる(12年7月19日の花王株式会社発表より)。