大陽日酸、フィリピン・クラークに新拠点か

2012/07/18

子会社インガスコが空気分離工場、5割増産へ
昨年クラーク開発公社が合意署名と発表

 

 産業ガス大手の大陽日酸が、フィリピンでの生産能力を50%程度増強する計画である。投資額は約30億円となる

 大陽日酸は現在、フィリピン・ルソン地域に2カ所の生産拠点を有しており、現時点での液化ガス生産能力シェア約60%でフィリピン首位となっている。需要増に対応すべく生産能力を増強する方針である。生産能力増強は子会社インガスコを通じて行われる。大陽日酸は「増設場所は、マニラ北部にある数カ所の工業団地の中から年内に決定する」と表明している。

 なお、クラーク自由港区を管轄するクラーク開発公社(CDC)は、昨年9月28日に、「CDCは大陽日酸のフィリピン子会社インガスコと、インガスコのクラークにおける空気分離工場設置で合意、合意書に署名した。署名は、アキノ大統領日本訪問時に行われ、アキノ大統領が立会人となった」と発表済みである。

 空気分離施設は、空気を圧縮し、冷却液化して蒸留により酸素・窒素・アルゴンに分離する装置である。大陽日酸は、空気分離装置の専門メーカーとして、日本最大の実績を有している。

 当時のCDC発表によると、インガスコのクラークにおける空気分離工場は3万2928平米、総投資額は約5000万ドルと見積もられていた。インガスコは、この空気分離工場で酸素、窒素、アルゴンを製造、販売するとされている。クラーク自由港経済区には、テキサス・インスツルメンツ(TI)やフェニックス・セミコンダクター・フィリピンズ(PSPC)などの工業ガス大口需要家が立地している。

 この合意発表などからすると、増設場所はクラーク自由港区の可能性が高いと思われる。