比セブン・イレブン高成長続く、年末870店体制へ

2012/06/25

前年末比181店、率にして26%増、目標上回るペース
株価は3年間で一時約24倍へ大幅上昇

 フィリピンのコンビニエンス・ストア業界が離陸期入りし、高成長を続けている。そして、業界トップ(店舗数シェアで約50%)のセブンイレブンをミニストップやマーキュリー・セルフサービスが追うという構図になっている。

 フィリピンのセブン・イレブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが56.59%を所有(2011年12月末現在)するフィリピン・セブン社(PSC)によって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、同年12月に米国テキサス州ダラスのサウスランド社(その後セブン-イレブン社に社名変更)からフィリピンでのセブン-イレブン運営ライセンスを獲得。1998年2月4日に、フィリピン証券取引所(PSE)に上場した。

 このPSCの出店ピッチに拍車がかかっている。PSCは2012年に15億ペソを投じてネットワーク拡充を図る方針。投資額の大半が新規出店に充当され、15~20%が既存店改装などに充てられる。また、このほどマニラ首都圏パシグ市の約3,200平米の倉庫を取得するなど物流・保管機能も拡充しつつある。現在、1,200店分の商品の保管が可能になった。

 積極的な店舗戦略により、2012年末の総店舗数は前年末の689店から181店、率にして26%増加、870店に達しこれまでの目標であった800店を大幅に上回る見込みである。ちなみに、2012年3月末の総店舗数は714店に達している。714店舗のうち、直営店が250店舗、フランチャイズ店が464店舗である。
 
 フィリピンでのセブン・イレブン第1号店は、1984年2月にケソン市エドサ通り沿いにオープンした。当初の出店ピッチは鈍かったが、2000年の小売業界規制緩和を契機に出店ピッチが速まった。そして、2006年末287店、2007年末311店、2008年末368店、2009年末447店、2010年末551店、2011年末689店と順調に拡大している。PSCは2012年に150店出店、2012年年末までに800店とすることを目指していたが、上記のようにそ目標上回るペースとなっている。さらに、2013年末には1000店とする方針を表明している。

 なお、PSCの2012年第1四半期のPSC総収入は前年比37%増の29億4,964万ペソ、商品売上高は同39%増の26億7,576万ペソ、純利益は同52%増の5,634万ペソと大幅増収増益決算となった。

 フィリピンのコンビニ業界やPSCの成長期入りとともに、フィリピン証券取引所(PSE)におけるPSCの株価が大幅上昇している。PSCの商いは薄く、その株価は2009年第1四半期から第3四半期までは2.50ペソに張り付いていた。ところが、2009年末に7.00ペソへ、2010年末は14.32ペソ、2011年末に25.90ペソまで上昇した。2012年に入ると、株価上昇に弾みがつき3月中旬には一時60ペソまで上昇した。すなわち、2009年第3四半期までの2.50ペソからは約3年間で一時約24倍まで急騰したことになる。6月25日の終値は43.10ペソであった。

 なお、PSCアニュアル・レポートによると、2011年末のフィリピンのブランドコンビニエンス・ストアの総店舗数は前年末比17%増の1,384店。シェアはセブンイレブン50%、ミニストップ23%、マーキュリー25%、サンミゲル・フードショップ2%となっている(12年6月25日のフィリピン証券取引所回覧4805-2012号などより)。 

フィリピンのブランドコンビ二エンス・ストア店舗数とシェア
2010年末店舗数 2011年末店舗数 2011年末シェア
セブン・イレブン 551 689 50%
マーキュリー・セルフサービス 287 345 25%
ミニストップ 336 325 23%
サンミゲル・フードショップ 13 25 2%
合計 1,187 1,384 100%
(出所:フィリピン・セブン資料より作成、ミニストップ店舗数は日本側発表と多少異なる)