第1四半期の経常収支、8.8億ドルの黒字

2012/06/24

海外からの送金が貿易赤字を完全にカバー
経常黒対GDP比率は1.6%(前年同期1.9%)

 

フィリピン中央銀行(BSP)は6月22日、12年第1四半期(12年1~3月)の国際総合収支を発表した。


 [2012年第1四半期の国際総合収支動向]
 下表の通り、2012年第1四半期の国際総合収支の黒字は前年同期比64.4%減の12億4,300万米ドルに縮小。対GNI比は1.6%、対GDP比は2.2%であった。経常収支及び資本金融収支共に純流入額が縮小したことによる。

 経常収支の黒字は前年同期比8.1%減の8億8,200万米ドルで、対GNI比は1.2%、対GDP比は1.6%。海外フィリピン人就労者(OFW)送金が5.4%増の50億1,200万米ドルに達し、物資貿易の39億9,500万米ドルの赤字をカバー、経常収支の黒字維持を下支えした。

 なお、2012年3月末の総外貨準備高(GIR)は前年同月末比15.4%増の761億ドルに達した。これは物資・サービス輸入の11.4カ月分に相当。また、原本ベース短期負債の10.9倍、残存ベース短期負債の6.4倍に相当する水準(12年6月22日のフィリピン中央銀行発表より)。

 [国際総合収支発表について]
 中央銀行は国際収支(BOP)積み上げ方式統計に関して、2003年10月にそれまでの毎月発表から四半期毎の発表へ変更することを決定した。これは、統計内容の確認、モニター、調整を強化し、より精度の高い統計を発表することが目的である。
 
 ただし中央銀行は、毎月、純外貨準備高(NIR)の変動から算出した国際総合収支推計速報値を発表している。ちなみに、最新数値は、6月19日に発表された2012年5月分速報値。それによると、2012年年初5カ月間の黒字は前年同期比72.8%減の13億0,200万ドルであった。しかし、上記のような積み上げ方式の国際総合収支発表は四半期に1回のみである。

 2012年第1四半期(1-3月)の国際総合収支内訳(単位:百万米ドル)

項目 第1四半期
11年 12年 伸び率
物資・サービス貿易収支 -2952 -2924 赤字0.9%縮小
 対GNI比(%) -4.3 -3.9 -
 対GDP比(%) -5.8 -5.2 -
    輸出 15824 16826 6.3%
    輸入 18776 19750 5.2%
 物資貿易収支 -3908 -3995 赤字2.2%拡大
 サービス貿易収支 956 1071 12.0%
経常収支 960 882 -8.1%
 対GNI比(%) 1.4 1.2 -
 対GDP比(%) 1.9 1.6 -
   OFW送金額合計 4755 5012 5.4%
    うち銀行経由分 4595 4842 5.4%
資本金融収支 3656 962 -73.7%
 資本収支 32 41 28.1%
 金融収支 3624 921 -74.6%
誤差脱漏(ネットベース) -1123 -601 -
国際総合収支 3493 1243 -64.4%
対GNI比(%) 5.1 1.6 -
対GDP比(%) 6.8 2.2 -
(出所:BSP資料より作成、注:12年第1四半期は全て速報値)