新日鉄の独自工法、フィリピンに続きグアムでも

2012/06/23

高耐力で低コストの「ハット形鋼矢板+H形鋼工法」
 

 新日本製鉄株式会社(新日鉄)は、大林組と米国HEALY TIBBITTS BUILDERS,INC./WATTSコンストラクタ―ズのJV から受注し、米国グアム島内の海軍軍港の港湾埠頭改修工事向けに、ハット形鋼矢板ならびにH形鋼約8千トンを納入した。


 この工事では、ハット形鋼矢板とH形鋼を組み合わせた高耐力構造である、「新日鉄ハット形鋼矢板 + H形鋼工法」(ハット+H工法)が採用された。この工法が港湾工事で採用されたのは初めてであり、現在、上記JV により順調に施工が進められている。

 この工法が米国の建設工事に採用されたのは今回が初めてであり、フィリピンでの円借款案件パシグ・マリキナ川河川改修事業(Ⅱ)での採用に次ぐ大型受注になった。

 ハット+H工法は、世界最大幅を持つハット形鋼矢板の高い耐力と施工性の良さを活かし、サイズメニューが豊富なH形鋼をハット形鋼矢板に結合させることにより、工事地域の地盤状態に応じてより高い「耐力」を自由に設定できる、高い耐力と低コストを両立した構造である。都市部の狭隘地域や軟弱地盤地域、さらには水深の深い岸壁・護岸工事等において有効である。

 フィリピンでのパシグ・マリキナ川河川改修事業は、マニラ首都圏を流れるパシグ・マリキナ川の護岸改修による洪水被害の緩和ならびに河川沿いの環境改善を図ることを目的に、日本政府より本邦技術活用条件(STEP)円借款案件として、2007年にフィリピンへ資金供与が決定され、2009年に東洋建設株式会社により着工されたという経緯がある。
 そして、工事地域はマニラ都市部の住居等が密集する地域であり、こうした狭隘地施工に適したハット+H工法が採用されたのである。

 
 海外建設市場では、今後とも河川改修等の都市整備や交通インフラ整備等の建設事業が見込まれている。新日鉄はこれまでも海外プロジェクトへの建材製品の提案・営業活動を積極的に行ってきた。今後も、上記のような技術提案、納入実績を活かし、新興国のみならず、米国等の海外建設市場においても幅広く提案活動を行い、各国の社会資本整備に貢献して行く方針である(12年6月21日の新日本製鉄株式会社ニュールリリースなどより)。