日本郵船、比で船員育成から船舶管理一貫体制構築
2012/06/04
エヌワイケイ・シップマネジメント社がマニラ事務所設立
日本郵船グループ会社のエヌワイケイ・シップマネジメント社(NYKSM社、本社:シンガポール)は5月25日、フィリピンのマニラで新事務所の開設記念式典を開催した。
設立後10年で220隻規模の船舶を管理するまでに成長したNYKSM社は、今後の船舶管理隻数の増加に備えるとともに、最も大きな割合を占めるフィリピン人船員のキャリアパス多様化を図るため、船舶管理業務を行うことを主目的とした事務所を初めてマニラに開設した。この事務所で船舶管理などの陸上業務に従事することによって、フィリピン人船員は日本郵船グループ内で海技者としての幅広いキャリアを積むことができるようになる。
日本郵船は、2007年に他社に先駆けてトランスナショナル・ダイバーシファイド・グループ(TDG)と共同でフィリピンに商船大学(NYK-TDG MARITIME ACADEMY=NTMA)を設立し、良質の船員の確保・育成に注力してきた。昨年3月31日に発表した新中期経営計画「More Than Shipping 2013」においても、NTMAを中心に、安全運航のコアとなる優秀な船員を育成し、その技術力をもって当社サービスの差別化を図る戦略を打ち出している。
マニラ事務所の設立により、船員の「育成」、「配乗」、「研修」から船舶管理関連業務までをフィリピン国内で一貫して行うことが可能になる。担当者相互のさらなる円滑なコミュニケーションや機動的なフィードバックを促し、本船の安全運航をより確実なものとする体制を構築していく。
これを契機に、フィリピン人船員を大型コンテナ船、VLCC(大型原油タンカー)、LNG船などを含む各船種の上級職員に積極的に登用し、フィリピン人船員を日本郵船グループの幹部船員の核に据える戦略を加速していく。
日本郵船グループは、顧客に安全で品質の高い輸送サービスを提供するため、世界中で優秀な船員の育成・確保に全力を傾注し、船舶管理体制のさらなる充実を図って安全運航体制の一層の強化を進める方針である。
<エヌワイケイ・シップマネジメント社 マニラ事務所の概要>
開設時期 : 2012年4月
規模 : 船舶管理船規模 8隻(取扱隻数は、今後拡大する方向)
対象船 : ドライバルカー(将来的にはコンテナ船、自動車船、タンカーの可能性も検討)
<エヌワイケイ・シップマネジメント社の概要>
2001年10月設立の日本郵船100%子会社。日本郵船グループ運航船の船舶管理、船員配乗を行う。本社はシンガポールで、事務所は東京、ロンドン(イギリス)、スプリット(クロアチア)、コンスタンツァ(ルーマニア)、ムンバイ、コルカタ、チェンナイ、ニューデリー(以上インド)、ジャカルタ(インドネシア)、バングラディシュ、マニラ(フィリピン)等。
日本郵船グループの船舶管理体制の核となる会社であり、2012年3月末時点の船舶管理船の規模は船舶管理受託146隻、船員配乗業務受託 75隻。
<トランスナショナル・ダイバーシファイド・グループ(TDG)の概要>
1976年に現会長のデルガド氏により設立された企業グループで、船舶の代理店業と船員供給・教育事業に加えて、航空事業や物流事業を行う。日本郵船とは、設立時の1976年から協力関係にある(12年6月4日の日本郵船株式会社ニュースリリースより)。