今年の金属鉱物生産額、9%減の1,106億ペソへ

2012/06/04

鉱山地勢局予想:金が39%減少、ニッケルや銅は堅調
昨年はニッケル生産の91%、銅の40%が中国に輸出

 フィリピン鉱山地勢局(MGB)は、2012年の金属鉱物生産額が前年比9%減の1,105億7,000万ペソに減少すると予測している。


 金属鉱物生産額が減少しそうな主な要因とは、フィリピン中央銀行(BSP)の小規模鉱山会社からの金購入量が減少しそうなこと。また、国際金属市況の反落傾向も挙げられている。

 2012年の金の総生産量は前年比24%減の2万3,527kg、総生産額は39%減の386億4,000万ペソとそれぞれ二桁減少となる見通し。また、BSPの小規模鉱山会社からの金購入量は前年比79%減の3,658kg(2011年は1万7389kg)と大幅な減少が予想される。

 2011年第3四半期に、内国歳入庁(BIR)が、2008年3月付け歳入規則第7-2800号に基づき、小規模鉱山会社から2%の物品税と10%の控除対象源泉税の徴収を開始したことが特記される。

 一方、2012年にセンチュリーピーク社のカシグラン・ニッケル事業(ケソン州)、エラメン・ミネラルズ社のサンタ・クルス・カンデラリア・ニッケル事業(サンバレス州)、シノスチール・フィリピンズHY鉱業社のHYニッケル・クロマイト事業(ディナガット島)、マウント・シナイ鉱山探査開発社のエリュビアル・クロマイト採掘選鉱事業(東サマール州)、ストロング・ビルト鉱山開発社のレイテ砂鉄事業(レイテ州)の生産が開始されることから、銅、ニッケル、クロマイト、亜鉛、鉄等卑金属の生産高の見通しは明るい。

 金属市況動向に関しては、昨年までの上昇傾向は継続しないもようである。もっとも、金など貴金属は、投資対象としての値強い人気、限られた供給量という状況下において、引き続き需要は高水準であり市況も底堅い動きを続けると予想される。
 一方、新興国での実需増加を背景に、銅やニッケル混合酸化物の生産は大幅増加しそうである。2011年の銅及びニッケルの消費量に関しては、中国が世界全体の40%、31%を占めた。MGB資料によると、中国は、フィリピンのニッケル、銅生産の各々約91%、40%を輸入した(12年6月4日のフィリピン鉱山地勢局発表より)。

 鉱物類・卑金属の生産量・額(生産額単位:百万ペソ)

品目 単位 2011年 2012年予測 伸び率%
生産量 生産額 生産量 生産額
貴金属
 金 kg 31,120 63,143 23,527 38,638 -24 -39
 銀 kg 45,530 2,056 45,707 1,630 0 -21
卑金属
 銅 MT 63,835 19,092 82,935 24,355 30 28
 ニッケル混合硫化物 DMT 22,794 11,197 23,800 15,793 4 41
 ニッケル鉱石直接出荷 DMT 20,456,858 25,006 20,825,938 23,943 2 -4
 コバルト DMT - - 1,552 1,368 - -
 クロム鉱 DMT 25,483 145 280,000 1,055 999 627
 亜鉛 MT 18,170 1,037 24,874 1,329 37 28
 鉄鉱石 DMT 126,177 315 1,100,000 2,460 772 681
合計 - - 121,990 - 110,571 - -9

       (出所:フィリピン鉱山地勢局資料より)