フィリピンのPPP実施環境度、ASEANトップ
2012/05/31
全体では第8位に:ADBの16カ国比較調査
インドネシア9位、タイ10位、ベトナム14位
アジア開発銀行(ADB)は5月30日に、域内におけるPPP(官民連携)に関する調査報告書「The 2011 インフラスコープ」を発表した。この報告書はADBからの委託を受け、英国エコノミスト誌のリサーチ部門であるEIUが作成した。
この報告書では、域内の途上国(PPPに注力しているインドのグジャラート州を、インド全体とは別に調査対象として含む)を対象に、持続的な長期PPPを実施する上でどこまで環境整備が進んでいるかを、先進国である英国、豪州、日本、韓国との対比を用いて比較検証している。
報告書はまず、「アジア・太平洋地域では過去10年でPPPが広まったものの、こうした流れを促進するには、実効性のある公的規制機関のほか、強い政治的意思が必要な場合もある」と概括している。
比較対象国・地域は16で、PPPに関する法律・規則(比重25%)、制度フレームワーク(比重20%)、経験度(比重15%)、投資環境(比重15%)、金融制度(15%)などからチェック、得点化し、ランキングしている。
総合順位トップは豪州(得点92.3)であった。以下、2位英国(89.7)、3位韓国(71.3)、4位インドのグジャラート州(67.6)、5位インド(64.8)、6位日本(63.7)、7位中国(49.8)、8位フィリピン(47.1)、9位インドネシア(46.1)、10位(タイ)と続く。
PPP実施に必要な体制や規制の枠組みが整っていることなどから、先進国とインドが総合で上位にランクインした。中国は、体制や規制面が比較的未整備であるにもかかわらず日本に次いで上位に入ったが、その理由として、2000年から2009年までの実施件数が614件に上っており、地方政府がPPP実施に積極的であることや、巨大インフラ市場が誘引になっていることなどが挙げられている。
これに対し、14位ベトナム(26.3)、15位モンゴル(23.3)、16位パプアニューギニア(20.8)は、経験不足や体制の未整備が原因で、下位にとどまった。
上記のように、フィリピンは16国・地域中8位であった。ASEANでは、今回シンガポールやマレーシアがランキング対象に含まれていないものの、フィリピンがトップとなっている。フィリピンは、PPPに関する法律・規則制度が比較的整備されていると評価され、インドネシア、タイ、ベトナムを上回った。しかし、紛争に関する解決能力や投資環境は低いと判断されたことで、全体では中位にとどまった。ちなみに、投資環境では13位というランキングであった(12年5月30日のアジア開発銀行発表より)。