日本、フィリピンの森林再生や環境保全支援

2012/05/30

円借款事業「森林管理計画」スタート

 

 5月29日、磯俣秋男在フィリピン日本国大使館公使は、ケソン市のニノイ・アキノ公園野生動物救助事務所において、円借款「森林管理計画」の事業開始式典に出席した。

 式典には、フィリピン環境天然資源省のパヘ長官をはじめとする同省関係者、事業実施地域の州知事の他、佐々木 JICA フィリピン事務所長が出席した。

この案件は、昨年9月27日に、訪日中のアキノ大統領と野田総理の立ち会いの下で両国政府の代表者により交換公文への署名が行われたものであり、供与限度額は、92億4,400万円である。

<案件の概要)>
 フィリピンでは、20世紀の初めに国土面積の70%以上の規模であった森林が、2007年には同24%となり、近年も森林が減少しており、排出削減効果の減少等により、温室効果ガスの排出量が増大を続けている。この計画の対象となる農村部の山間地帯は貧困率が高く、ほかに生計手段を持たない一部の貧困住民による野焼き等無秩序な土地利用が行われており、それが更なる森林資源の消失や災害、貧困を招く悪循環を起こしている。森林の荒廃は、洪水,土砂崩れ等の自然災害を引き起こす要因ともなっている。この計画の対象となっている河川流域は、毎年のように洪水に見舞われるなど、土砂災害及び洪水被害に対して脆弱な地域であり、防災は喫緊の課題となっている。

 「森林管理計画」では、ルソン島及びパナイ島において、住民参加型の森林管理及び生計改善活動(組織化された住民が、苗木栽培、植林、森林の維持管理、小規模ビジネス(農産物や林産物売買、キノコ栽培、林産物加工)等を行うもの)を実施することにより、森林の再生及び地域住民の生計向上を図る。

 これにより,植林による温室効果ガス( CO2 )の排出削減効果(気候変動対策)、災害に脆弱な地域における洪水・土砂災害の減少(防災)及び山間部住民の生活向上(貧困対策)に寄与する。

 この円借款は、2009年12月に発表した気候変動対策に関する日本の2012年までの途上国支援の一環として行われるものである。日本は、全ての主要国による公平かつ実効性のある枠組みの構築と意欲的な目標の合意に向けた国際交渉の進展を目指して、フィリピンと引き続き気候変動分野で連携していく考えである(12年5月30日の在フィリピン日本大使館発表より)