日本、フィリピン貧困層の生計向上等を継続支援
2012/05/22
草の根・人間の安全保障無償資金協力、累計468件に
先週はマスコバド糖加工施設や保健所の引渡式
5月17日、アブラ州バンゲッド町において、日本の草の根・人間の安全保障無償資金協力 「 アブラ州におけるマスコバド糖加工施設建設計画 」 の引渡式が、また18日に、イロコス・スール州スグポン町において、 「 イロコス・スール州スグポン町における保健所建設計画 」の引渡式がそれぞれ行われた。 事業の供与額は、それぞれ8万1,911米ドル(約770万円)、11万6,127米ドル(約1,100万円) である。
貧困層の生計向上や社会サービスの向上に資する 草の根・人間の安全保障無償資金協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであり、フィリピンでは1989年から現在に至るまでの間に、計468件の事業を実施してきており、支援総額は約23億円に達する。こうした草の根レベルの支援についても、日本は従来より積極的に取り組んできており、上記の事業は日本とフィリピンとの間の戦略的パートナーシップを更に強化することにも資するものである。
<案件概要>
1.アブラ州におけるマスコバド糖加工施設建設計画
ルソン島北部のアブラ州は、フィリピンの中でも最も貧しい州の一つである。同州では農業が主産業であり、砂糖の栽培が盛んである。アブラ州では1村1品運動の製品として、健康に良いとされるマスコバド糖を認定しており、事業の申請団体であるNGO「カピア・ネットワーク」の活動を支援している。「カピア・ネットワーク」は、マスコバド糖の普及に向けて活動しているが、メンバーの農場では非効率な手作業による生産が行われており、生産量が伸びない状況であった。
この事業では、アブラ州バンゲッド町にマスコバド糖の製造施設を建設し、サトウキビ圧搾器やサトウキビ・ジュース濾過器等の機材を整備した。これによって、マスコバド糖の生産量が増加し、農民の所得向上につながることが期待される。
2.イロコス・スール州スグポン町における保健所建設計画
イロコス・スール州南部に位置するスグポン町は、山岳地方に位置し、雨期にはアンブラヤン川の増水により交通の便が悪くなる地域である。町の中心にある保健所は損傷が激しく、必要な機材も不足していたため、住民への保健・医療サービスを提供するのに困難を来してした。
この事業では、同町に治療室、分娩室、5床の病棟等から成る保健所を建設し、ベッドをはじめ必要な医療機材を整備しました。これによって、町の住民がより質の高い保健・医療サービスにアクセスできるようになると期待される(12年5月22日の在フィリピン日本大使館発表より)。