首都圏最低賃金、2段階方式で30ペソ引上げ

2012/05/20

生活費(COLA)加算で一日419~456ペソに
7~7.7%の上昇、90ペソ要求の労組は反発

 バルドス労働雇用相は5月17日に、「マニラ首都圏地域3者賃金・生産性委員会(RTWPB-NCR)が、首都圏の一日当たり最低賃金の30ペソ引き上げを承認した(首都圏賃金規定17号)」と発表した。


 RTWPB-NCRは、賃金に関する公聴会を重ねるとともに、2011年6月(前回の最低賃金引き上げ時)から2012年4月までの総合物価上昇率や生活必需品物価上昇率などを勘案し、同30ペソ引き上げを決定したとのこと。ちなみに、最大の労組連合であるフィリピン労働組合会議(TUCP)は同90ペソの引き上げを要求しており、今回のRTWPB-NCRの決定に不満を表明した。

 首都圏賃金規定17号では、首都圏の同最低賃金は生活手当(COLA)支給というかたちで引き上げられる。また、今回の引き上げは2段階方式で実施される。まず、新聞での公示後15日に首都圏賃金規定17号が正式発効した時点でCOLA20ペソ分の引き上げをおこない、2012年11月1日から10ペソのCOLA追加分支給が開始される。

 なお、同最低賃金は基本賃金とCOLAとの合計となる。基本賃金は、残業代や年末特別手当給付などの算出のベースになるが、COLAはそれらの算出には含まれない。当然のことながら、労働者側にとっては基本賃金引き上げがより好ましい。
 
 形式上は、首都圏賃金規定17号には基本賃金の引き上げは含まれていないが、現行の同最低賃金(昨年5月26日発効の首都圏賃金規定16号による)のうち、COLA22ペソ分が基本賃金に変更され、基本賃金として一本化されることも決定している。したがって、基本賃金はこれまでより22ペソ引き上げられることになる。

 これらのRTWPB-NCR決定により、首都圏の同最低賃金は下表のように変更される。今回のCOLA加算により、首都圏の非農業セクター労働者の一般的同最低賃金は間もなく現行の426ペソからと446ペソへと引き上げられる。そして、11月からは456ペソへと引き上げられる。合計の引き上げ率は7%となる。
 農業セクターや零細企業などの同最低賃金も間もなく389ペソから409ペソへ、11月からは419ペソへと、合計7.7%引き上げられることになる(12年5月18日のフィリピン労働雇用省発表、全国賃金・生産性委員会資料などより)。

 マニラ首都圏の一日最低賃金体系の変更(単位ペソ)

現行基本賃金変更 新最低賃金(12年6月から) 新最低賃金(12年11月から)
生活手当を統合 基本賃金 生活手当 合計最低賃金 基本賃金 生活手当 合計最低賃金

非農業セクター一般

基本賃金426に 426 20 446 426 30 456

農業セクター

基本賃金389に 389 20 409 389 30 419

ベッド数100以下の民間病院

基本賃金389に 389 20 409 389 30 419

雇用15名以下のサービス業

基本賃金389に 389 20 409 389 30 419

常雇用10名人以下の製造業

基本賃金389に 389 20 409 389 30 419
(出所:全国賃金・生産性委員会資料より作成)