日本向けに3.4億ドルのクリーン・エネルギー債

2012/05/16

ADBが2回目の発行、野村證券グループが販売
再生エネルギー関連事業を支援、今月売出しへ

 

 アジア開発銀行(ADB、格付:Aaa/AAA)は今月、アジア・太平洋地域におけるADBの再生エネルギー関連事業を支援する債券「クリーン・エナジー・ボンド」を発行・販売する。

 ADBによる同債券の発行・販売は、2010年9月以来2回目。通貨は前回同様、オーストラリア・ドル、トルコ・リラ、およびブラジル・レアル建てで、計3億3,900万米ドル分を調達する。償還期間は豪ドルが4年で、リラとレアルは、いずれも3年。ノムラ・インターナショナルPLCによるアレンジを通じ、日本の個人・法人投資家向けに販売される。

 アジアでは、経済成長や人口増、生活水準の向上に伴い、エネルギー需要が拡大傾向にある一方、電気へのアクセスがない域内人口は約7億人ともみられている。ADBでは2013年までの期間、年額20億ドル以上をクリーンエネルギー関連事業に投資するとの目標を掲げており、2011年は21億ドルを達成した。
 ADB財務局の柏木幹夫局長は、こうした域内の電力需要増に応える必要性を指摘した上で、クリーンエネルギー案件への間接的支援につながる点が、この債券の特徴とコメントした。

 ADBでは、類似の社会貢献型債券として、水関連事業を支援する「ウオーターボンド」の2度の発行実績もあり、調達資金と同額の支援が域内の水関連事業に振り向けられている。

 日本の投資家は、ADBが発行するこのような社会貢献型債券への投資を通じて、アジア・太平洋地域における環境保全や基幹インフラ整備を支援することが可能となり、ひいては貧困削減に貢献するといえる(12年5月16日のアジア開発銀行ニュースリリースなどより)。