丸紅、フィリピンで10億ドルの鉄道建設受注

2012/05/15

MRT7号線システム一式の設計・製造・据付等
東芝、日本信号、総合車両が主要機材を納入
施行ULC(サンミゲル傘下)、JBICと融資交渉
 

 丸紅とフィリピンの大手建設企業D.M.コンスンヒ社(DMCI)の2社コンソーシアムは、マニラ首都圏北部に全長約23km、14駅及び車両基地から成る高架式鉄道システム一式、及びバスターミナル建設事業を受注し、5月11日にマニラにおいて建設請負契約に調印した。


 契約金額は米ドル換算約10億ドル(約800億円)で、工期は着工より42ヶ月、全線開通は2016年6月頃を予定している。

 建設計画の実施機関はユニバーサルLRT社(ULC)で、フィリピン政府より、この鉄道システム一式及びバスターミナルに関する25年間の建設・運営・保守の事業権を取得している。ULCの過半数シェアはフィリピン大手コングロマリットのサンミゲル・ホールディングスが保有している。

 MRT7号線は、既存線である1号線と3号線が乗り入れる北端駅より更に北部に位置するサンホセ・デルモンテ駅(ブカラン州)までの14駅、23kmを結ぶものである。開業後は北部に建設が予定されている住宅地・商業施設からマニラ首都圏へのアクセス利便性が格段に高まることになる。

 丸紅はコンソーシアムリーダーとして、MRT7号線建設プロジェクトのマネジメントおよび鉄道システム一式(車両108両、信号、通信、自動改札、変配電、車両保守設備)の設計・製造・据付・試運転を担当、DMCIは駅舎(14駅)、高架(一部地下)、車両基地、バスターミナルの建設および軌道工事を担当する。

 フィリピンにおいて、丸紅は運輸通信省傘下のフィリピン国鉄の軌道改修案件、軽量交通公社(Light Rail Transit Authority)が運営するマニラLRT1号線増強案件、マニラMRT2号線建設案件(2004年開業)など、鉄道システムの一部及び一括での建設・納入実績を有している。DMCIは、丸紅との協業を含む多くの鉄道工事実績がある他、グループ会社にて電力、水、道路などインフラ事業を展開している。

 今回は車両・車両電気品・信号の主要設備をそれぞれ総合車両製作所、東芝、日本信号より供給するが、これは日本の鉄道技術がULCから高く評価された結果である。また、ULCは国際協力銀行(JBIC)の融資を検討中で、現在交渉を進めている。

 丸紅は、今後もフィリピンのみならず、新興国を中心とする海外市場において日本の鉄道インフラシステム輸出に貢献していく方針である(12年5月15日の丸紅株式会社ニュースリリースより)。