株式市場4月も好調維持、最高値更新続く
2012/04/30
4カ月間で19%上昇、時価総額10兆ペソ台到達
外人買越し261億ペソ(昨年年間で565億ペソ)
ペソ対米ドルレートは3.9%のペソ高に
フィリピンの株式市場、及びペソ対米ドルレートが強い動きを続けている。
フィリピンの代表的な株価指数であるフィリピン証券取引所株価指数(PSEi)は、2011年に4.1%上昇した。そして、2009年の63.0%、2010年の37.6%に続いての3年連続の続伸となった。 そして、2012年第1四半期も16.8%の上昇を記録した。
4月もPSE株価指数(PSEi)は上昇基調を辿った。4月30日の終値は5,202.70ポイントに達し、3月末の終値5,107.73ポイントから94.97ポイント上昇、月間で1.9%の上昇となった。4月26日には場中の瞬間高値で5,247.14ポイント、終値で5,218.97ポイントと各々のベースで2日連続の史上最高値を更新した。年初4カ月間累計では19%の上昇となっている。
2012年4カ月間のセクター別株価指数パフォーマンスは、トップが金融の32.87%上昇。以下、不動産の30.46%上昇、持株会社の27.28%上昇、鉱業・石油の14.91%上昇、工業(製造業、電力・エネルギー、建設など)の11.19%上昇、サービスの6.61%上昇と続く。
2011年は、年前半の金融引き締めを背景に、不動産が6.4%下落と最低のパフォーマンス、金融も0.77%の上昇にとどまったが、2012年はインフレ沈静化やそれに伴う金融緩和の動きで、逆に、金融株、不動産株が上昇率1位と2位となっている。金融や不動産セクターの業績は苦戦が予想されていたが、発表された2011年決算では悪環境下の中で最高益計上が続出、2012年も業績続伸が期待されることもあって、2012年は現時点では金融、不動産という金利敏感株が牽引役になっている。
4月央には上場企業の時価総額が初の10兆ペソの大台乗せを果たした。4月27日現在の上場企業時価総額は10兆0,980億ペソで、2011年末の8兆6,970億ペソから16.1%の増加となっている。国内企業の時価総額は2011年末比18.2%増の8兆6,970億ペソ、外資系企業(マニュライフとサンライフのカナダ系2社、カナダや米国市場等と並行上場)の時価総額(ペソベース)は同5.7%増の1兆5,409億ペソとなっている。
4カ月間の1日当たり平均売買代金は75億1,000万ペソで、2011年の平均57億1323万ペソを31.5%上回るペース。外人の売買高シェアは41%で、2011年の37.8%から上昇。一方、外人の買越額は既に約260億7,000万ペソに達している。ちなみに、2011年は年間で約565億ペソ、2010年は同356億ペソの買越であった。
一方、PDS(フィリピン・ディーリング・システム)でのペソ対米ドルレートは、4月30日終値が1米ドル=42.205ぺソとなり、3月末の終値42.920ペソから0.715ペソ上昇、月間で1.7%の反発となった。年初4カ月間累計では3.9%のペソ高となっている。
フィリピン証券取引所指数、ペソ対米ドルレートの動き(年末、もしくは月末値)
フィリピン証券取引所株価指数 | ペソ対米ドルレート | |||
時期 | 年末・月末値 | 上昇率 | 年末・月末値 | 上昇率 |
2000年 | 1,494.50ポイント | -30.3% | 49.998ペソ | -24.0% |
2001年 | 1,168.08ポイント | -21.8% | 51.404ペソ | -2.7% |
2002年 | 1,018.41ポイント | -12.8% | 53.096ペソ | -3.2% |
2003年 | 1,442.37ポイント | 41.6% | 55.500ペソ | -4.3% |
2004年 | 1,822.83ポイント | 26.4% | 56.280ペソ | -1.4% |
2005年 | 2,096.04ポイント | 15.0% | 53.090ペソ | 6.0% |
2006年 | 2,982.54ポイント | 42.3% | 49.030ペソ | 8.2% |
2007年 | 3,621.60ポイント | 21.4% | 41.280ペソ | 18.7% |
2008年 | 1,872.85ポイント | -48.3% | 47.520ペソ | -13.1% |
2009年 | 3,052.68ポイント | 63.0% | 46.200ペソ | 2.9% |
2010年 | 4,201.14ポイント | 37.6% | 43.840ペソ | 5.4% |
2011年 | 4,371.96ポイント | 4.1% | 43.840ペソ | 0.0% |
2012年1月 | 4,682.44ポイント | 7.1% | 42.870ペソ | 2.3% |
2月 | 4,897.65ポイント | 4.6% | 42.750ペソ | 0.3% |
3月 | 5,107.73ポイント | 4.3% | 42.920ペソ | -0.4% |
4月 | 5,202.70ポイント | 1.9% | 42.205ペソ | 1.7% |
2012年4カ月間 | - | 19.0% | - | 3.9% |
(出所:フィリピン証券取引所とPDSの取引記録などより作成)
2012年のセクター別株価指数上昇率など(4月30日時点、PERのみ4月27日時点)
項目 | 4月30日終値 | 年初からの上昇率 | PER(株価収益率) | 昨年の上昇率 |
フィリピン証券取引所指数 | 5,202.70 | 19.00% | 18.52倍 | 4.07% |
全株指数 | 3,469.52 | 13.94% | 23.98倍 | 1.28% |
金融セクター指数 | 1,287.42 | 32.87% | 15.38倍 | 0.77% |
工業セクター指数 | 7,866.46 | 11.19% | 18.59倍 | -2.02% |
持株会社セクター指数 | 4,459.46 | 27.28% | 17.24倍 | 3.39% |
不動産セクター指数 | 1,932.39 | 30.46% | 21.80倍 | -6.40% |
サービスセクター指数 | 1,723.19 | 6.61% | 19.98倍 | 1.63% |
鉱業・石油セクター指数 | 27,009.51 | 14.91% | 12.87倍 | 68.52% |
(出所:フィリピン証券取引所資料より作成)
フィリピン証券取引所の指数、規模、売買額等の推移
項目 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年4月27日 |
年末時価総額(億ペソ) | 40,692 | 60,291 | 88,611 | 86,970 | 100,980 |
国内企業時価総額 | 24,741 | 39,919 | 68,922 | 72,390 | 85,571 |
外国企業時価総額 | 15,952 | 20,372 | 19,689 | 14,580 | 15,409 |
1日平均売買(億ペソ) | 31.1 | 41.1 | 49.5 | 57.1 | 75.1 |
外人の売買代金シェア | 48.7% | 32.4% | 38.1% | 37.8% | 41.0% |
外人買越額(億ペソ) | -221.6 | 149.2 | 356.2 | 565.2 | 260.7 |
PER(株価収益率) | 8.95倍 | 23.26倍 | 21.32倍 | 16.57倍 | 18.52倍 |
(出所:フィリピン証券取引所資料より作成、2012年は4月27日時点の数値)