フィリピン航空持株会社、サンミゲルから5名の取締役

2012/04/22

ラモン・アン氏社長兼任、オンピン元貿易産業相も取締役

 フィリピン航空株式を84.67%を保有するPALホールディングス(PALH)が、4月20日に、取締役や役職交代を決議した。


 これは、サンミゲルのPALHへの間接出資決定を受けたものである。PALH取締役定員は11名であるが、サンミゲル・サイドから5名の取締役が派遣されることが決定した。
 
 そして、サンミゲルのラモン・アン社長がPALHの社長兼CEOに、同エストリート・メンドーサ弁護士がコーポレート・セクレタリーに就任するなど、PALHの要職をサンミゲル関係者が占めることも決定した。ラモン・アン社長のビジネス・パートナーである元貿易産業相のロベルト・オンピン氏も、サンミゲルとPALHの取締役を兼務することとなった。

 一方、長らく、PALHの社長を務めてきたハイメ・バウティスタ氏など従来のPALHの取締役6名が退任する。会長職はルシオ・タン氏が留任、ルシオ・タン氏の弟であるハリ―・タン氏もトレジャラ―(財務約)として留任するが、サンミゲル色が一気に強まることになる。

 なお、サンミゲルは具体的には、100%子会社であるサンミゲル・エクイティ―・インベストメントを通じて、PALHの親会社であるトラストマーク・ホールディングス(トラストマーク)株式49%を取得することで、PALH、その子会社となるフィリピン航空に間接出資を行う。

 トラストマークはPALH株式を約97.71%保有している。PALHはフィリピン航空株式約84.67%を支配していることから、サンミゲルは今回のトラストマークへの49%出資により、フィリピン航空株式の40%を間接取得することになる。

 株式保有比率では、依然PALHもフィリピン航空もルシオ・タン氏グループが過半数を握っているが、役職選出では、上記のようにサンミゲル色が非常強くなっている。

 サンミゲルは、フィリピン航空グループの格安航空会社エア・フィリピン(エアフィル)にも間接出資することを決定している。具体的には、エアフィルの持ち株会社であるズーマ・ホールディングス&マネジメント(ズーマ)の株式49%を取得というかたちで、エアフィル株式49%を間接取得する。

 いずれにしても、サンミゲルの多角化戦略が一段と進展しつつあるといえよう(12年4月20日のフィリピン証券取引所回覧2988-2012号などより)。