中央銀行、政策金利や預金準備率を据置き

2012/04/19

翌日物借入金利4%、貸出6%、準備率18%を継続
 

中央銀行(BSP)金融委員会は、4月19日に開催された今年3回目の定例会議(年10回開催)において、政策金利である翌日物金利や預金準備率の据置きを決定した。 
 


 この据置き決定により、翌日物借入金利は4.00%、翌日物貸出金利は6.00%が継続されることになった。翌日物金利は、前々回(1月19日)と前回(3月1日)の定例会議において、2回連続で各々0.25%の利下げが実施され、翌日物借入金利は史上最低水準に並んだ。一方、預金準備率も現行の18%が継続されることとなった。

 今回の金融委員会の決定は、インフレ期待は抑制されており当面のインフレ率は目標圏内に留まるであろうという分析と、過去2回の利下げ効果もあって国内景気は緩やかながら回復に向かいつつあるという分析に基づいている。すなわち、インフレ抑制と景気支援という両面から、現行の金融政策は適切と判断されたのである。ちなみに、中央銀行の最新分析では、2012年、2013年のインフレ率はともに、インフレ目標4%±1%(3%~5%)の下半分圏内(4%以下)に落ち着く見通しである。

 インフレ上昇リスクとしては、原油価格反騰や高水準の外資流入にともなう市中流動性の増加が挙げられる。このようなインフレ上昇リスクは、ペソ高や依然緩慢な世界需要の伸びなどによってある程度相殺されると判断されるが、BSPは引き続き、インフレ抑制のために物価や需要動向を注視していく。それと同時に、景気の安定的な拡大にも配慮していく方針である。そして、必要と判断されれば、金融政策を変更する用意があると表明した。

 なお、マクロ経済目標を決定する開発予算調整委員会(DBCC)は、2012年~14年の3年間の各年のインフレ目標に関して、従来からのの目標値4%±1%(3%~5%)を継続することを決定済みである。

 インフレ目標枠組みに関して、DBCCやBSP金融政策委員会は2010年7月に、変動制(年間インフレ目標)から3年間の固定制(中期インフレ目標)に変更する(2012年から)ことや、2012年~14年の各年のインフレ率目標を4%±1%(3%~5%)に固定することを決定した。
 この3年間の固定インフレ目標が決定された2010年7月時点のインフレ率算定基準年度は2000年であったが、2011年6月分発表から、基準年が2006年へと変更(2006年=100)された。このインフレ基準年変更に伴うインフレ目標の変更の必要性が討議されていたが、変更の必要なしとの結論に達し、既存目標が継続されることになった。

フィリピンのインフレ率目標と実績の推移(実績は2000年基準値)
  2008年 2009年 2010年 2011年 2012~14年
インフレ目標 3.0~5.0% 2.5~4.5% 3.5~5.5% 3.0~5.0% 3.0~5.0%
インフレ率実績(2000年基準) 9.3% 3.2% 3.8% 4.4%
(出所:フィリピン中央銀行資料などから作成)