丸紅、フィリピンで再生可能エネ事業にも注力
2012/04/11
最大級のIPPとして化石燃料依存度軽減も推進
太陽光発電などで実績、10件の新事業計画か
丸紅は、海外電力事業を戦略分野の一つに掲げており、強固な基盤を増強すべ くグローバルポートフォリオの拡大を図ってきている。既に丸紅のネット発電容量は7.5GWと、国内商社中トップを誇り、欧米の一流IPP(独立系発電企業)事業者に比肩するレベルへと拡大している。
丸紅は、フィリピンにおいても、強大な電力事業基盤を構築している。特に、東京電力との合弁企業チームエナジー社が2006年12月、米国ミラント社からルソン地域で稼動中のパグビラオ石炭火力発電所(735MW)、スアル石炭火力発電所(出力1218MW)の全ての権益、ならびにイリハン天然 ガス火力発電所(出力1251MW)の20%の権益(250MW)を買収、発電能力を一気に2,203MW増加させた。
この買収により、丸紅グループはフィリピンにおける最大IPP事業体としてプレゼンスを更に高めると共に、基幹インフラである電力事業の発展に大きく寄与してきている。
上記のチームエナジー社買収3発電所のエネルギー源は化石燃料であるが、丸紅は再生可能エネルギー、代替エネルギー事業にも注力している。丸紅としては、例えば、パンガシナン州でのサン・ロケ水力発電(345MW)事業、ミンダナオ島北コタバト州でのマウント・アポ地熱発電(100MW)事業などを展開してきている。
今年1月20日には、チームエナジー社が推進する「代替エネルギー活用による家庭電化・生活向上支援(HEART&SOULプログラム)」の電化点灯式典が開催された。
HEART&SOULプログラムは、2001年にチームエナジー社が設立した社会貢献機関「チーム・エナジー財団(TEFI)」が窓口を担っており、フィリピン政府と協調した様々な支援活動の実績がある。同プログラムは、過去の支援活動のひとつであるプロジェクト・ビーコンの後継プロジェクトとして辺境地電化のために推進されたものである。プロジェクト・ビーコンでは、1万8000km以上の電線と6万本以上の電柱の敷設、1万軒の太陽光家庭発電が導入されるなど、太陽光発電を導入した電化プロジェクトで、約30万世帯、100万人以上のフィリピン人に便益をもたらした。
HEART&SOULプログラムは、化石燃料依存度軽減や環境保全、辺境地や貧困層支援に直結し、フィリピン政府が掲げる「2017年までに全世帯の90%電化実現」という目標にも沿ったものである。引き続きTEFIは、フィリピンの電化における重要な役割を果たしていく。
さらに、最近のフィリピン各紙報道などによると、チームエナジー社は、最低でも10件の再生可能エネルギー・プロジェクトを実施する。同社のフェデリコ・プノ社長は「現在、ミニ発電所を中心とする6件の水力発電所プロジェクト、バイオマス発電、さらにはバタアン州ナティブとベンゲット州ダクランでの地熱発電プロジェクトを検討している」とコメントした。今回、コメントされなかったが、ブラカン州やバタンガス州での太陽光発電プロジェクトも検討されているとのことである。